第九話 変わり始めた日常
一日明けて今日は月曜日。
週の始まりを好む人もいれば嫌う人もいるだろう
ちなみにみおは前者。人が慌ただしくしている雰囲気が好きなのだとか。少しみおは変わっているのだ。
みおは教室に入り、いつもどおり、自分の席に着いて朝の時間をゆっくりのんびり過ごしていた。最近慌ただしかったので、いまこうして過ごす時間にとても幸せを感じていた。
(朝の空気ってなんでこんなに過ごしやすいんだろ・・・ずっとこんな時間が続けばいいのに。)
しかしそんな願いもあと数分したら打ち砕かれることになるのだ。朝練から彼らが帰ってくるのだ
「おはよーみお」
「おはよー」
「今日もかわいいよ」
「はいはい。脳外科医にみてもらって来な」
「脳は正常だよ?」
「じゃあ眼科かな」
「はあ、いい加減認めなよ」
そこに拓也が口を挟む。
「そーだよ笠原ちゃん。」
「うわっ二号まで来た!」
「「二号?」」
「ああ、そらが一号で、西森君が二号ね」
「!拓也なんかと比べんないでよ」
「俺も、二号っての。そらより劣るってことが気に入らないな〜」
「あ?やんのか拓也」
「決着つけとく?・・・もちろんサッカーで」
二人が睨み合ってるその隙にみおはこっそりと抜け出そうとする・・・・・・が、それにそら達が気づかないわけがなく
「みお?」
みおはビクッとして走り出す。
それを見たそらと拓也も走り出す。
「げっもう追って来た・・・琴美ちゃんお願い」「はいです!防御壁展開!!」
琴美の力で壁がつくられ、そら達は進めなくなる
・・・正確にはそらファンクラブのメンバーがそらに群がり、廊下が塞がれてしまったのだ。拓也も巻き添えをくらい、みおは逃げ切ることができた。
みおは琴美にガッツポーズをし、それにこたえるかのように琴美もウインクを返す。副会長パワー恐るべし。
「はあ、はあ、ここまでくれば大丈夫だろ」
「なにが大丈夫だって?」
その声にみおはビクッとして振り返る。
「よっす、みおっち」
「なんだ真央かあ」
ホッと胸を撫で下ろす。
「朝から大変だねえ」
「うー。他人事みたいに~」
「あはは、だって私は秋人とラブラブだもん♡」
「く・・・」
「ま、頑張りなよ?考えるって決めたんなら最後まで戦わないと」
「うん・・・。」
「私もサポートするからね?」
こういう恋愛関係のときだけは真央がとても頼もしく見えるから不思議だ。
HRギリギリに教室に戻って行く。
席についてから約二名から視線を送られているような気がしたが、気のせいということにした。
昼休みになってみおは昼食を一緒にとろうと真央に声をかけようとする。
「真央「「みお(笠原ちゃん)一緒に食べよ」」
またもやこの二人だ。
「みおは俺と食うんだよ」
「そんな法律ないもんねー」
「今作ったから適用される!」
「じゃあその法律を撤廃する法律を公布します」
「ならその撤廃を撤廃する!」
「じゃあ撤廃を撤廃するのを撤廃・・・」
「今のうちにどっか行こ」
「そだね」
「あ、俺も行っていい?」
「秋人君か。まあいいよ」
そしてみおたちは戦線を離脱する。
「なら俺は撤廃の撤廃の・・・ってあれ、みおは?」
「あれ・・・いない」
「くっ!拓也のせいだぞ!!」
「ええ俺のせい?」
みお達は屋上にきていた。
「ふう。やっとのんびりだー。」
「にしてもみおちゃん大変だねえ。いきなり二人のやつに追いかけ回されることになっちゃってさ」
「そっか。秋人はまだ聞いてなかったもんね。
みおっちね~今付き合おうか悩んでるんだよ」
「そうなの!?どっちと?」
「真央ちゃんの言い方は若干まとめすぎ」
「でも簡単に言うとそういうことじゃ無いの」
「まあ、あってるような違うような・・・でも好
きになれなかったらやめるって条件付きね」
「あ、そういうことね。もう二人から猛アタックきてるし、こりゃ付き合う日も近いかな」
「どーでしょーねー。」
「みおっちてばシャイな子だから!」
「真央ちゃん、殴るよ?」
「きゃー秋人ーみおっちが怖ーい」
「怖がってるやつが満面の笑みでいられるかっつーの」
えへへーと真央が笑う。真央は女子らしく、みおにはない魅力がある。その魅力に秋人はゾッコンなのだ。
昼休み終わりのチャイムが鳴り、みおたちは教室に戻る。
「みーおー。酷いよー。罰として今日は絶対一緒に帰るんだからね!」
「はいはい。ついてきたきゃ勝手にどーぞ?」
「そーじゃなくて、お互いに楽しくおしゃべりしたりしながら帰るの!」
「あんたは乙女か!」
「可愛さはみおの足元にもおよびませんけど」
「・・・やっぱ一緒に帰って途中で病院に突き出してやる!」
「みおが診てくれるなら大歓迎だよ」
「・・・。」
「そんな可愛い目で見られちゃ照れちゃうよ」
「いつか殴ってやる・・・」
そんなこんなで放課後・・・・・・。
「じゃ、6時に校門ねー」
「気分が乗ったらね」
「ふふ。みおは照れ屋さんだなあ」
「!・・・さっさと行け!」
そらは手を振りながら、グラウンドに走って行く
みおは四階に向かっていた。そしてそこは
「ん?あ、みおちゃんじゃない。どうしたの?」
「純菜先輩。どうもです」
「敬語使わなくていいのに。」
「先輩ですから、一応礼儀ですよ。今日はその、久しぶりに顔出そうかと。」
みおが訪れたのは、音楽室。吹奏楽部に珍しく参加しようとしたのだ。
「あら。でも今日は練習休みよ?」
「ええ!?そうでしたっけ?」
「さすが幽霊部員の名を欲しいがままにしただけはあるわね。」
ははーと笑いながらぽりぽりと頬をかく。
「・・・まあ折角だし遊んで行ったら?」
「そーしまーす」
純菜はピアノを弾き始めた。
吹奏楽部に所属しているけれど、音楽センスは素晴らしいものを持っている。
(あーピアノ弾いてる姿すっごい綺麗だなあ)
みおはピアノを弾く純菜に見とれてしまっていた。そしてどうして自分の周りにはこんなにも美男美女が多いのだろうと疑問に思う。みお自身もそのうちに含まれることに気づく日はくるのだろうか・・・。
気づけば外は夕暮れ。時間は6時半・・・。
「ん・・・6時半!?」
「どうしたの?なんか約束でもあった?」
「あ・・・」
そういえば約束、というわけではなかった。
そらが一方的に言ってきただけなので、破ったことにはならないだろう。
「じゃ私帰りますね」
「ふふ。また来なよ?幽霊部員ちゃん」
みおは苦笑しながら音楽室をあとにする。
校門が見えたが、そこにそらの姿はなかった。
(・・・やっぱ帰っちゃったか・・・)
「ん!?今私ショック受けてた!?」
そんなわけ無い!と自分の気持ちを静める。
自分の気持ちに素直になる話しはどこへ行ったのやら・・・。
そんなみおは後ろからふわっと包まれた。
「つーかまーえた」
「!」
みおはドキッとして顔を赤らめる。
「もー来ないから捨てられたかと思ったよ。」
みおは一回深く息を吸って気を落ち着かせる。
「そもそも君を所持してないけどね」
「みおつめたーい」
(ふう。なんとか自然にできたか。)
「とにかく、離れてよ。帰り辛い。」
「じゃあこのまま抱っこして「却下」
みおは即答してぐっとそらから離れて歩き出す。
「楽しいなあ・・・。待ってよみおー」
そして二つの影は並んで帰っている。
みおの気持ちに大きな変化が起こり始めている。
お気に入りさんがまた増えました!感謝感激です




