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「ハウス!」
数日後、それはワタシがお菓子を食べ終えて、ひとしきり駆け回った時だった。憎たらしいあの格子の箱に帰る合図の言葉だ。
「もっと遊びたいなぁ……」
ワタシはちょっと意地悪して、格子の箱に戻るのを拒み、『おはようの人』を遠くから様子見してみた。
「何しているの。キャロ、ハウス!」
やっぱり怒られてしまった。すごすごと格子の箱に近づく。すると何やらいい匂いがするではないか。
「わぁ! 美味しそうな匂い!」
先ほどまでのネガティブ満載の気持ちが吹っ飛び、ワタシは誘われるかのように格子の箱の中に身を投じると、一目散に食事にありついた。今日は果物も結構あるじゃない。どういう風の吹き回しだろう。急にいきなり豪華な食事になると、逆に不安になるじゃないか。そんな記憶がワタシを悩ませる。
ほどなくしてワタシが食事に夢中になっている間に、あの忌まわしき格子の扉は再び閉ざされ、ワタシの自由なひと時が幕を下ろす。
「はぁ……。まぁ仕方ないか」
横目で閉ざされた扉を睨みつつ、食事を続けるワタシ。ふと、その時ようやく気付いた事があった。床一面に敷き詰められている牧草。それがいつもの牧草と違っているではないか。「しめしめ。今日は何の記念日?」とばかりにワタシは早速その牧草を一口食べてみる事にした。
「……うーむ」
何とまぁ美味しくない牧草だこと。
「今日の牧草はね、いつもより高い牧草だから美味しいはずだよ」
そんな言葉が聞こえてきた。『おはようの人』が言うその言葉が何を意味するのかは分からない。これは嫌がらせなのか? それよりワタシは文句が言いたくて仕方が無い。
「何よこれ! いつものと違うじゃない! いつもの牧草を早く頂戴!」
そんなワタシの心の声が届くはずも無く、あの人は部屋から去ってゆく。しかし、ここに来てどれほど経つというのだろう。あの人は未だにワタシの好みを知りあぐねているらしい。そんなに浅い付き合いでもなかろうにほとほと困ったものだ……。




