あの流れ星って、いったい何味なんだろうね。
「あ! 流れ星!」
彼女が声を上げる。紺色の夜空に散りばめられた星々は、子どもの頃に見た金平糖のようにキラキラしていた。
「あの流れ星って、いったい何味なんだろうね」
ふと頭を過ぎった金平糖が、僕にそう呟かせた。子どもっぽい発想が途端に恥ずかしくなって、僕は思わず右手の甲で口元を隠す。
「さぁ? でも流れ星を見ると嬉しいよね。なんだかお祝いみたいで」
彼女は少し考えてから、得意げに広げた両手をパチンと合わせてみせた。
「お祝いといえば誕生日、誕生日といえばケーキでしょ? ならきっと甘い味がするんじゃない?」
僕は胸を撫で下ろした。そうだ。こういう彼女だから好きになったんだった。子どもっぽい発想は笑われるかも、なんて考えは杞憂だった。
「……僕も。星って、金平糖みたいだからさ。甘いのかなって、思ったんだ」
恐る恐る口にした僕に、彼女は何度も瞬きをする。不思議そうにパチパチと、大きな目が見え隠れする。それからぷっと噴き出した。
「そう……そっかあ! 一緒だねえ。じゃあ、あの流れ星はきっとすっごく甘いんだろうね。ケーキとか、金平糖みたいに」
キラリ。また流れ星。紺色に映える星が、海に向かって落ちてゆく。
────それならあの海は、砂糖水かな。
僕らは夢のような金平糖の下、くだらない話を再開した。
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