表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/17

第6話 ブロックの向こう側

最悪の形で連との関係が強制終了されます


あの日、アプリ内に投稿した

「抗議動画」の波紋は、

凛夏の想像を遥かに超える形で跳ね返ってきた。


連(勝利)の配信開始から15分。

いつもなら開始5秒で「一番乗り!」と

コメントするミサキが現れない。

連は確信した。


(……チッ、やっぱり来ねえか。

動画であんなに匂わせといて、

自分は被害者面ってわけ?)


カメラの前では爽やかな笑顔を維持しつつも、

連の内心はイラつきで充満していた。


しかも、画面下の入室通知には、

普段は見かけないミサキの常連リスナーたちが

ズラリと名を連ねている。


だが、彼らは挨拶を交わすだけで、

その後は一言もコメントを発しない。


「……なんかさ、みんな動画見た?

勘違いも甚だしいっていうかさ」


ついに連の理性がプツンと切れた。

彼はカメラを睨みつけ

ついに名指しで反撃を開始した。


「ミサキさ、ただの軽いノリを本気にしすぎ。

こっちは場を盛り上げようとしてただけなのに、

わざわざ動画であんな晒し方する?

性格悪いよね、正直」


連の熱狂的な信者リスナーたちは

『そうだそうだ!』

『連くんがかわいそう』と同調する。


一方で、黙って聞いていたミサキ側のリスナー数人は、

静かに操作パネルを開いた。


(あーあ、連さんってこういう人だったんだ……。

でもミサキさんも面倒くさそうだし、もういいや)


虚無感に襲われたリスナーたちが、

連に流されるまま、

ミサキをブロックする。


連の「被害者アピール」という名の

プロパガンダは、

着実に効果を発揮していた。


翌日、凛夏は重い心を引きずりながらも、

習慣で配信を開始した。


(……やっぱりリスナーさん、少ないな。

あの動画、やりすぎちゃったかな……)


そんな不安を抱えていた時、

画面に『連が入室しました』という

最悪の通知が躍る。

入るなり、連はマシンガンのように

コメント欄で文句をぶちまけ始めた。


『自分のしたこと分かってる?』

『配信者としての自覚なさすぎ』


凍りつく配信枠。

凛夏は反論する気力も起きず、

ただ目を伏せて黙り込むしかなかった。


その時、状況を見かねた事務所のマネージャーが

コメントを打ち込む。


『連さん、内輪揉めは配信外のDMでやりなさい。

枠を荒らさないこと』


「……っ」

連は画面を見ながらチッと舌打ちをし、

体面を保つためだけに安いギフトを一つ投げ捨てて、

枠を去っていった。


配信終了後、

凛夏は胸騒ぎを感じて自分のプロフィールを開いた。


(フォロワー、減ってる……。連くんは……?)


「応援中のライバー」一覧を見るが、

そこに連のアイコンはない。

嫌な予感が加速する。

連のプロフィールを検索し、

『フォロー』ボタンをタップした。


【ブロックされているため、操作できません】


「……嘘。……あんなに、好きだったのに」

「文句だけ言ってブロックなんて、本当に卑怯だよ……」


スマホを握りしめたまま、

凛夏の目から再び涙がこぼれ落ちた。


作家としての冷静な観察眼など、

もうどこにもない。


初恋の終わりは、

あまりにも無慈悲で、

あまりにも一方的だった。


そこへ、あの「バカにされていた」と

教えてくれたリスナーからDMが届く。

開くと、そこには一本の動画が添付されていた。


再生すると、昨夜の連の配信画面が映し出される。

そこには、顔を真っ赤にして

ミサキを名指しで罵倒する連の姿があった。


『もう関わらない方がいいよ。嫌な気持ちにさせてごめんね』


添えられたメッセージを読み、

凛夏は声を上げて泣いた。


もう、このアプリに居場所なんてない。

こんなに傷つくなら、

書くことすら辞めてしまいたい。


ピコン、と通知が鳴る。

山本勇次の配信開始通知だ。


(最後に……勇次さんの顔だけ見て、

アプリを消そう。全部、終わりにしよう)


凛夏は震える手で、

山本勇次の枠へと逃げ込んだ。



それが「ミサキ」としての

本当の終わりの始まりになるとも知らずに。



お読み下さりありがとうございます

次からは凛夏のライバー人生が激変します

次回もお楽しみに♡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ