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第17話 代償と、狂気のサブ垢

余裕のある女は強いw


希望の光が見えた連(勝利)は、

驚くべきスピードで行動を開始した。


「ミサキが……ミサキが戻ってくる!」

彼は震える指で、これまで「正妻」として扱ってきた

白百合ももかのプロフィールの『ブロック』ボタンを

迷いなくタップした。


続いて、ミサキのファンクラブへと飛び、

クリスタルと同じ「VIP会員」へと加入した。



その頃、勇次の配信枠で大爆笑していたミサキは、

通知を見てコーヒーを噴き出した。


「あはは! 聞いてください、

連くんがファンクラブのVIP会員に入った通知が来ました!」


『アホやなwww』

『さすが連くん、行動が極端w』


勇次は腹を抱えて笑いながら、言った。

「あいつ、面白いやつだなぁ。

ミサキちゃん、VIP会員に入ったからって、

ギフト投げすぎんなよ?

会費からかなりの額が入るんだから、

投げる必要すらないわw」


VIP会員の会費の9割はライバーに入る。

イベントにでも出ない限り

ギフトを貰わなくてもかなりの報酬が入るのだ。



ミサキはすぐさまクリスタルに報告のDMを送った。

『指示通り、ももかをブロックして

VIP会員に入ってくれました!』


クリスタルから即座に「会費譲渡」のギフトが届き、

ミサキは連のVIP会員に加入した。





その直接、連は海斗から

「ギフト投げに行ってやるから配信つけろ」という連絡を受け、

慌てて配信を開始した。

海斗はまだももかをブロックしたことを知らないため、

いつも通り海斗のフォロワーに向けて配信をシェアした。



一方、ももかはブロックされたため通知は来ないが、

気まぐれにアプリを開き、

『LIVE中一覧』を見て驚愕した。


(……え? 海斗さんが連くんをシェアしてる? なんで?)


疑問に思いながら連の枠をタップすると

——そこには

『ブロックされています。操作は出来ません』の文字。


ももかは頭が真っ白になった。

全ての動画が見られなくなっている。

慌てて海斗にDMを送る。

『連くんにブロックされてるんだけど、なんで!?』

DMを見た海斗は、配信中の連にコメントで問いかけた。


『ももかからDM来たぞ。なんでブロックした?』

連はニヤニヤしながら、ミサキから来たDMの話をした。

海斗が連のファンクラブ一覧を見ると、

確かにVIP会員の欄にミサキのアイコンがある。


「……ミサキ、ももかをブロックしてるのか? それは危険だぞ」

海斗の懸念の言葉と同時に、

画面に『ミサキが入室しました』の通知が出た。


「ミサキ!」

連が嬉しそうに叫ぶ。


海斗が『ミサキ、ももかブロックした?』と聞くと、

ミサキは淡々と答えた。


『もちろん。サブ垢を使って来ても、

今はトップ層の人が多いから何もできないよ』

ミサキはそうコメントを残すと、

いちばん小さなギフトを投げ、


『ミュージックサバイバル、期待してるわ』

とだけ残して退室した。


海斗はニヤけている連に呆れ果てた。


『バカかお前は。ももかがサブ垢で来る前に、配信切れよ』

海斗はそうコメントして退出した。


「よし、そろそろ切るか……」

連が配信を終了しようとしたその瞬間、

見慣れないアカウントが入室した。


ミサキが去った余韻で浮かれていた連は、

そのアカウントが

ももかの「サブ垢」かもしれないという可能性を

完全に失念していた。


「あー、初めまして……かな?」

声をかけた瞬間、コメント欄が狂気の色に染まった。


『ももかだよ! なんでブロックするんだよぉぉぉ!!』


「ひっ……!?」

連は変な声を上げた。


『なんでファンクラブにミサキがいるの!?

あんなに虐めたのに!!』


連の脳内から、楽しかったはずの再開希望が霧散した。

「ご、ごめん……!」


連は絶叫すると、

反射的にそのサブ垢もブロックし、

配信終了ボタンを連打した。


ももかがストーカー化する可能性。

そして、

自分のためにミサキがそこまで計算していたことに、

連はまだ気づいていなかった。




お読み下さりありがとうございます

次回もお楽しみに♡

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