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第13話 自業自得のチェックメイト

連の謝罪をどう返すのでしょうね


既読がついてから2時間。


スマホの画面を見つめすぎて

目が充血してきた連(勝利)は、

ついに禁断の「社長泣きつきメール」を再送した。


受信した社長は、

事務所のデスクで深い、

深すぎる溜息を吐いた。


(……あかん。こいつを将来マネージャーにする計画、

完全に白紙やな)


自分から公開処刑まがいの乗り込みをしてブロックし、

相手が王者クリスタルにまで愛されるライバーになった途端

「戻ってきて」と縋り付く。


その節操のなさに、社長は返す言葉も見つからない。

今ミサキに事務所内で不利益なことがあれば、

彼女は二つ返事で他所に引き抜かれるだろう。


「……なぁ、あんなに酷いことしておいて、

今さら戻ってきてなんて言われて戻るやつ、

おると思うか?」


唸る社長に、

ミサキの担当マネージャーが呆れた顔でコーヒーを置いた。


「都合が良すぎて、もはやギャグですよね。

トップ層と繋がった途端にこれですから」


「もう、連に見捨てられてもええ覚悟で、

突き放してええかな」


社長の呟きに、マネージャーは笑いを堪えながら頷いた。


「ええんちゃいます? 薬を処方する時期はもう過ぎてますよ」


覚悟を決めた社長は、連に極めて短い返信を送った。


『自業自得です。もう俺の手に負えません』

社長からの返信を読み、連は文字通り頭を抱えた。


(見捨てられた……?

社長、あんなに仲良くしてくれてたのに!)


冷たい一言に泣きそうになりながらも、

連は「ミサキが社長に何か吹き込んだに違いない」と

斜め上の被害妄想を膨らませる。


しつこいのは承知の上で、

もう一度、懇願のDMを送りつけた。


翌朝。通知を確認するが、結果は同じ。

既読、そしてスルー。


(でも……DMが送れるってことは、

ミサキは俺をブロックしてないんだよな。

まだチャンスはあるはずだ!)


連の脳内では、

(ミサキは俺の謝罪を待っている。

でも恥ずかしくて返信できないだけだ。

俺が本垢で配信に行って華麗に謝れば、

彼女は『いいよ』って言ってくれるはず。

ついでに元信者リスナーたちも

『連くんを許してあげて』って援護射撃してくれるかも……)

という、おめでたいシナリオが完成しつつあった。


しかし、その背後には

大西直也や山本勇次という巨大な影がチラつく。


(……あいつらがいたらどうしよう。

いや、でも行くしかないんだ……!)


連は震える指でミサキを再フォローした。


数秒後、追いかけるように配信開始通知が届く

悩みに悩み、胃を痛めながら、

連はついに本垢でその「門」を潜った。


画面の中のミサキの表情が、一瞬で強張る。

『連が入室しました』

(マジで来た……!)


二通のDMを無視し続けているミサキは、

心臓が口から出そうだった。


だが、今の彼女の背後には、

以前とは違うリスナーたちの絆がある。

可愛がってくれるトップライバーもいるし

「ミサキを選んで正解だった」と豪語した

元連リスナーの目が光っている。


コメント欄が不自然に止まった。

そこへ、連のコメントが上がった。


『ミサキ、これまでのこと、本当にごめん。

謝らせてほしい』


(みんなが見てる前で……卑怯だな)

ミサキは冷めた目でその文字を見つめ、キッパリと言い放った。


「……別に、謝らなくていいよ。

……ちなみに、戻る気もまったくないから」


その瞬間、画面に連からの高額ギフトが舞った。


「……ありがとう。でも、これ何のギフト?」


かつての「守ってあげたい新人」ではない、

強気なミサキの態度に連は怯んだ。


『今、リスナーがももかしかいないんだ……。助けてほしい』


なりふり構わぬ連の泣き言。

ミサキが沈黙していると、

かつて連に多額の支援をしていた

元リスナーが冷たく言い放った。


『自業自得じゃん。

ミサキちゃんをあんな風に追い出したのは誰だよ』


連は必死にそのリスナーにも縋る。

『戻ってきてほしい、ミサキの次でいいから……!』



「みんなが行く分には、私は止めないよー」

ミサキは淡々と告げたが、コメント欄は静まり返ったまま。

誰一人として、連に追従する者はいなかった。


連はスマホを握りしめたまま、

かつて自分が踏みにじったものの大きさに、

ただ項垂れるしかなかった。



お読み下さりありがとうございます

次回もお楽しみに♡

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