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第11話 頂点からの「入会通知」

最強王者初登場です


ライバー事務所「ダブルスター」の社長は、

密かにミサキ(凛夏)の配信を覗くのが

習慣になっていた。


連には黙っていたが、

ミサキの枠は今や、

アプリ内のトップ層が挨拶代わりに立ち寄る

「社交場」と化している。


(……いやぁ、壮観だねぇ。連の枠が砂漠だとしたら、

ここはオアシス。いや、銀座の高級クラブか?)


社長は入れ代わり立ち代わり入ってくる

有名ライバーたちの名前を見ながら、

感心しきりだった。


人が少なければ話に加わるが、

これだけ賑やかだと「入室通知」だけ残して、

あとは壁の花に徹するのが社長流だ。


ミサキも社長が来ていることは分かっているはずだが

社長が自分からコメントしない限り、

空気を読んで深追いはしてこない。



そこへ、一つの「見慣れないアカウント」が滑り込んできた。

連が正体を隠して作ったサブ垢である。


(……ふん、どんな配信してんのか見てやるよ……って、え?)


連は画面を見て固まった。

ミサキは自分を見つけた時のように大騒ぎせず、

静かに入室を見守っている。


(……あ、これ山本勇次のスタイルだ。

名前を呼ばないことで、

潜りたい奴への配慮を見せてるつもりか。生意気に……!)


しかし、

連をさらに驚かせたのはコメント欄の顔ぶれだった。


トップ層に混じって、

かつて連の枠で「俺が育てる!」と

豪語していた古参リスナーたちが、

ミサキの枠で楽しそうにギフトを投げまくっていたのだ。



「ゼロQLIVE」には、

熱狂的な支持の証である月額制ファンクラブ制度がある。

連は記憶を掘り起こした。

かつてミサキは、自分のファンクラブの

「下から2番目」の中級会員にひっそりと所属していた。

山本勇次の枠でも同じ階級にいるのを確認し、

「所詮はその程度か」と高を括っていたのだ。


その時、

画面中央にアプリを揺るがす特大の通知エフェクトが走った。


【祝! クリスタル様が、『VIP会員』に入会しました!】


「……っええええええええええええ!?」


画面の中のミサキが、

椅子から転げ落ちんばかりの悲鳴を上げた。


社長も飲んでいたコーヒーを噴き出し、

スマホを握りしめる。


クリスタル。それは「アプリ内1の王者」と称される

伝説のトップライバーだ。

その王者が、月額数万円は下らない最高級のVIP枠に、

なんの予告もなく降臨したのだ。


コメント欄は瞬く間に祝杯のスタンプと

『ヽ(>□<)ノキャ━━ァ♡♡』という絶叫で

埋め尽くされる。


そして、当のクリスタル本人が堂々と入室してきた。


(……クリ、クリスタル様が……!?)


連はあまりの衝撃に、

持っていたサブ垢用のスマホを床に落としかけた。


「あ、あわわわ……クリスタル様……!?

お、お疲れ様ですっ! VIP入会、ありがとうございます!」


ミサキは画面越しに、

これでもかというほど深く頭を下げた。


彼女自身、

王者の配信には何度か顔を出してはいたが、

あんな大混雑の枠で認知されているなどとは

微塵も思っていなかったのだ。


『お疲れ。直也から頼まれたら、断れねーしなw』


クリスタルの投げっぱなしなコメントに、

ミサキが呆然とした瞬間。


【祝! 大西直也様が、上級会員に入会しました!】


「ひ、ひぃっ! 直也さんまで!?」

追い打ちをかけるようなレジェンドの入会通知に、

ミサキの喉は限界を迎える。

さらに追い打ちをかけたのは、

たまたまその場に居合わせた男だった。


『お、直也も入ったの?

じゃあ、俺も入らんと男が廃るな』


山本勇次の不敵なコメントから数秒後。


【祝! 山本勇次様が、上級会員に入会しました!】


「勇次さーーーん!! もう、何が起きてるのーーー!?」

叫び、混乱し、真っ赤になってあわあわするミサキ。

その姿に社長は「うん、最高のエンターテインメントだ」と

満足げに頷き、静かに枠を抜けた。


一方、サブ垢で潜んでいた連は、

眩しすぎる画面をただ呆然と

見つめることしかできなかった。




自分が「ガチ恋勢の新人」として扱っていた女は、

もう、手の届かない銀河の果てまで

行ってしまったのかもしれない。



お読み下さりありがとうございます

次回もお楽しみに♡

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