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始まりを刻む  作者: 桶満修一
第1章 超能力者の異世界転移
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6話 戦いの終わり

 リーティアの戦いが始まり、僕は疲弊した体を休ませるのに尽力していた。

 といっても木に寄りかかっているだけなのだが。

 リーティアは、僕が超能力で強化したときよりも速い動きでオークロードに切りかかり、多数の傷をつけていた。

 正直彼女たちの戦闘は何が起きているのかよく分からない。

 漫画とかでよくある、「速すぎて目で追えない」とかではないのだが、防御をしたかと思ったら攻撃をしているし、一回の攻撃で何か所も傷をつけていたりと、本当になにが起きているのか説明できないのだ。

 「ヤムチャ視点」ってヤツだな。


 まあ、さすがのリーティアも度重なる戦闘で体力の限界が近いのか額には汗が滴っていて顔色も悪くなっている。普通に考えたらあんなにギリギリな少女を助けるべきなんだろうけど、僕は足手まといにしかならないし、援護射撃も出来ない。

 僕がなろう系の主人公だったら主人公降格案件だな。どうやら僕は主人公にはなれないみたいだな。

 まあ、僕も無理やり動かした代償に今は全く体が動かないからやれることはないんだよな。

 ただ、さっきよりも動きが良くなっているリーティアにオークロードは混乱しているのか、防戦一方となっている。これなら片が付くのも長くないかもしれないな。

 まあ、僕にやれることがあるわけでもないし周辺の警戒でもしてようかな。


 「━━━━!!」

 「もらったあああぁぁぁぁああああ!!!!」


 っと、どうやら決着がつきそうだな。

 オークロードも僕に大振りを繰り返して疲れてたのかもな。いや、苛ついてたのかも。

 というかこの状態でどうやって帰ろうか。リーティアにおぶってもらうのは少し恥ずかしいかな。

 そんなことを考えてるとリーティアのナイフがオークロードの首を掻っ切ろうとしていた。


 ーーーその瞬間、オークロードが笑ったのが見えた

 疑問に思う暇もなく見えたのはリーティアの後ろにいきなり現れたオーク。いや、いきなり現れたわけじゃない。さっきの戦闘で死にかけた、でも死んでなかったオークだ。

 オークロードはリーティアに負けていたわけじゃない。ただ、リーティアを確実に殺せるチャンスを作ったのだ。


 彼女の死角から出てきたオークが拳を振り落とす。


 「━━━━!?リーティア!!」


 呼びかけたときにはもう遅い

 その時には、彼女の頭上その頭部より2周り以上も大きい拳が数センチ先にあった

 彼女ならば避けれるだろうか。

 否だ。

 いくらリーティアがバケモノ染みているとは言っても、あれを避けることは出来ないし、もし出来たとしても対峙しているオークロードに隙を突かれて殺されてしまう


 死ぬ?

 リーティアが死ぬ。

 僕を守って。

 僕の代わりに戦って━━━━


 そんなの━━━━いやだ━━━━!!


 「うおおおおおおおお!!!!」


 僕は右手を前に出し全力でサイコキネシスを発動する。

 魔素が邪魔して十全に発揮しないそれは地球の頃のように遠くまで

発動することもなければ、オークを吹き飛ばすことも出来るはずがない。

 しかし、すぐに掻き消えるそれは、1つの事象を目的として発動していた。

 地球ではない物質を無理やりに動かし、地球には存在しない事象を起こそうとしていた。

 それは━━━━


 「火球(フラン)!!!」


 絶叫とともに手の数センチ先の魔素が不可思議な模様を刻みながら動いていく。

 出来上がっていくのは昨日の僕の命を助けた魔法を構成する魔法陣。

 その先から発射されたのは拳大の大きさを持つ炎の球体。

 勢いよく発射されたそれは、まっすぐと進んでいきオークの体を焼き尽くし、燃焼させる


 行使されるはずのなかったその魔法にオークロードは驚き、命を失っていたはずのリーティアは意を介さない。

 背後で燃え上がるオークに一瞥もくれずに渾身の一撃をもってオークロードに迫る


 しかし簡単には殺されはしないというように、オークロードが大きな右手を勢いよくリーティアに放つ。

 彼女は後ろには下がらない。

 迫る右手が頬をかすめるがその眼はまっすぐと敵を見つめている。

 ナイフを握る手を勢いに任せてオークロード向かって振り抜く━━━━


 「これで終わりだああぁぁあああ!!!」


 彼女はナイフでは戦闘に幕を下ろすことは出来ないと判断し、空いている左手に火を纏わせる。

 そして、すぐさまその火球を眼前の敵に浴びせに罹る


 「ガアアアアア!!!」


 死に瀕したオークロードが初めて野性味あふれる声を上げて生にしがみつこうとするもそれはリーティアが許さない

 彼女自身が炎で身を焼かれながらも、身体深くに刺したナイフを離すことは決してしない。

 これが最後のチャンスと知っているから。


 一体、何秒間叫んでいただろうか。

 気づいた時には、その巨体は動きを止め、息を引き取っていた。

 その死体には身体中にいくつもの傷、顔面には大きな火傷の後を残していた

 決して弱い相手ではなく、決して一人では相手をしてはいけない敵だった。

 しかし、彼の、彼女の限界を超えた、予想を超克した活躍は敵の思考を凌駕し、それが勝利へとつながったのだ。


 命の灯が消えたのをその手で確認したリーティアはその場で少しの間、肩で息をしながら佇んでいたが、はっと顔を上げ一言。


 「トワ君!!助けてくれてありがとう!魔法使えたじゃん!どうやったの?」

 「いや、僕も何が何だか・・・。がむしゃらにやっただけで、また使えるかも分からない。あまりあてにしないでくれよ」

 「いいんだよ、細かいことは。私もトワ君も生きて帰れるんだから」


 リーティアが永遠の手を引いて起き上がらせると、二人は肩を抱いて歩いていく。

 

 「よし、帰ろう」


 こうして、永遠とリーティアの初めての依頼は終わりを告げた。


▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽


 「おいおいリー嬢、なんだよこりゃあ。オークロードの牙を持ってきたってことは倒しちまったのか?」

 「その通りだよ、ジギラス。ま、私たちにかかれば?こんな奴?倒すのなんて簡単なんだよね~」

 「ばっか野郎!!お前ごときが倒せる奴じゃねえんだよ、普通は。あいつは戦略的で相手の力量を正確に判断するのに長けた魔物だからな。『隙を見せたら注意しろ』って教えられるくらいなんだよ。強いハンターとは戦わず、勝てるハンターばかりを狙うことから遭ったら死ぬって呼ばれてるんだ。無茶しやがってよお。それに『豚帝王』っていう帝王種には・・・・」


 その後もジギラスの説教は長く続いたが、2人は耳を貸すことはなかった


(早く帰ってゆっくりしたいな)

 (そうだね) 


なんかどんどん文字数が減っていってる気がする…………。

いや、きりのいいところで終わっているから仕方ない。仕方ない。

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