幕間 宴会
「魔物たちの勢いが落ちてきた、かな?」
戦場の一画で孤軍奮闘の活躍を見せるエリーナは誰に言うわけでもなくそう呟いた。
とめどなく襲ってきていた最初と比べると、魔物の襲撃が衰えて来ていた。
戦闘を開始してから1時間が経ったのだから当然とは言えるが、通常のスタンピードと比べたら短い。実際には見たことないが、歴史の中では何日も魔物の襲撃が止まらないようなこともあったのだと。
「これもコリプランに魔物があんまりいないことが原因なのかもね」
安堵のため息を吐きながらも魔物を殺す。
未だ魔物は襲ってくるが、問題ない。これならばあと1時間も経てば完全に止むだろう。
スタンピードは終わったのだ。
「さて、もう少し頑張りますか!」
極大な魔法陣を展開して、蹂躙していく。
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「それでは………………、おつかれさまでしたーーー!!!」
エリーナの掛け声で、その場にいた皆が杯を掲げて「カンパーイ!」と続く。
場所はエディス魔法学校の一室。スタンピードも終わりを迎え、関係者の一部が集まって宴会をしていた。
誰も死んでおらず、誰もが笑顔で宴会を出来ていた。
「みんな、今回は本当にありがとう。本当だったら国が総力を以って対処しなければいけない事だったんだけど、何分時間がなくてね。通達するので手一杯だったんだ」
エリーナは申し訳なさそうにそう言った。
彼女自身、あまり大勢の場でこのようなことを言うことは得意ではないだろうが、申し訳ないという気持ちが勝ったのだろう。
「特に生徒諸君。本当にありがとう。危ないことに巻き込んでごめんね」
少し頬を赤らめた表情でトワたちの方に顔を向け、頭を下げる。
しかし、それに対しリーティアとしては笑って返す以外の答えを持っていない。
「お礼なんていいよ。どっちにしろ私たちはハンターだしね。ハンターの義務の1つでしょ、国が危険なときは力を貸すっていうのは?」
「それはそうだけど……………。でも……」
「僕たちも自分で決めたことなので、お礼は結構ですよ。それに恥ずかしいですけど、どっちかというと友人を助けたいという気持ちの方が大きいですから」
アルジェルトの言葉に後方でユナとカンガルが、うんうんと頷いて肯定を表している。
彼らとしては街を守るという意識よりも、トワたちにこれ以上助けられてばっかではいられないという意識の方が大きかったのだろう。
「君たち~~~~」
リーティアやアルジェルトたちの返事を聞き、なぜか涙目になるエリーナ。そのまま杯を置いたかと思えば、こっちに、来て………………。
「大好きだよーーー!」
「え!?エリーナさん?」
「キャラ変わってない!?」
人目も気にせずアルジェルトたちの下へと駆け寄ってくる。
その姿は普段のしっかりした、それでいて緊張しいの彼女とはかけ離れていた。
「はぁ、変わってないんですね」
その異様な様子のエリーナを前にアインスが何か知ってそうな雰囲気でため息を吐く。
「アインス先生、何か知ってるんですか?」
「彼女は、エリーナはお酒に超弱いんです。もうお酒の雰囲気だけで酔ってしまうほどに。そして酔ってしまうと人格が変わり、周りの人が大好きになって所かまわず抱き着いてしまうのです。さんざんお酒には気を付けろと言ってきたのに、まだ治ってなかったのですね」
いえ、むしろひどくなってるのでは?と呟くも、それは喧騒がかき消す。エリーナ自身も知らぬことだが、未だ結婚が見えてこない焦りから酒癖が悪くなっているのだろう。
「いや、そんなことはいいから止めて!」
「はっはっは、面白いじゃないですか」
「ダメだ、使い物にならないじゃん!ちょっとトワ君に近づかないでよ!あれ?トワ君も酔ってる?飲んでないよね?」
夜はまだ始まったばかり。
未成年の飲酒はダメだよ!バレないようにね!




