#119 酒と泪と男と女
これは前回のあとのお話。親友について悩む飛翔と…
「今日は土曜日。嫌な予感しかしない。」
「5月も中旬ですからね。」
「…そういえば、あの後どうなんだろう。」
みなさんどうも、飛翔だよ。あの後の後日談を聞きたいと思った。前回までの異世界物語は少しだけ楽しかったが、こんな闇堕ちは見たくなかったなぁ…
「ねぇ、どこに行くの?」
「君は水橋さんだね。どうしたの?」
「…一緒にいて。どこにも行かないで。」
「おいおいやめとけよ?」
「瑞穂…うん。わかった。行ってらっしゃい。」
なんやかんやシェアハウスの住民たちに気に入られちゃったみたい。でも…今日は一人でふらっと行こうかな。
「そうだ…今度バスで夜見川行こうかな。」
何気ない独り言を呟いて遠く遠くに向かおうとした。
「加茂か。やっぱりここで降りるか。」
加茂で降りるとそこにはいつもの街並みが見えた。飲食店街やコンビニ、反対には高層マンションがいくつも乱立していた。
「飛翔、どうしたの?」
「ビショップ?おーい!」
「…」
何か雑音が聞こえたが、今日は無視することにした。
「西の加茂家、東の番長でしょ。昼から1人、静かに飲むとするか。」
来たのは番長こと酒番長。大学生には少しだけハードルが高い様に思うが、1人飲みの店としてはなかなか良い。
「大将、とりあえず刺し盛りと…レッドアイを。」
合わないと言われるかもしれない。しかし、今日はそんな気分なのだ。はぁ…あの後の話聞けたらなぁ…
「大将。あの人の隣は大丈夫?」
「おーい!ビショップ!」
「…どうしたんだよ。1人で飲みたいんだよ…」
「飛翔…お疲れ様。手伝いに行かなくてごめんなさい。まさか避難所出たところを狙われるとは思わなくて…あぁ、闇堕ちはしてないわ。並んでたところだったし。」
「…この話は本当だよ。もう少しのところでパウンドケーキができたからね。」
「そうなんだ…」
「でも…悩んでるのはこの話が聞きたいからじゃないよね。」
「うん…」
「私たちで良ければ話聞くわ…あ、私はひじきの煮物と白鶴ロックで。」
「私は…ハイボールってありますか?あればそれと肉じゃがをお願いします。」
少しして頼んでいたものが全て来た。ここも悪くはないが…やっぱり加茂家と比べると何かが足りない。
「飛翔、話してみて…大丈夫、怒らないから。」
「実は親友のヤスについて…」
「ヤス…って黒崎くん?だとしたらビショップとは他のゼミだよね…」
「うん…あいつのせいで吸い込まれたり怪我した人がいたりしたのに…あいつナヨナヨして何もしなかった…」
「きっと助ける義理なんてないしどうでも良かったからなんでしょ…全く、責任なんてものがないのかしら。」
「そうだよね。友だちをやめろとは言わないけど…ちょっと考え直した方がいいわね。」
いくら親友がいても、関係が壊れるのは一瞬だ。築いてきた信頼と同じように。やり直すチャンスは来るのだろうか…
親友との関係は些細なことでもすぐ切れる。




