我らが偉大な大空の墜【一頁完結型小噺・T書庫シリーズ】
__幕間
ここに一冊の本がある。タイトルは【我らが偉大な大空の墜】。
前回の二頁の空に何があったのかが書かれてる筈だ。
それは、私たちにとっては物語であるかも謎らしい。
しかし、コレが残されているという事は彼等は確かに存在していたのは確かだ。
そういう世界らしいからね。ココは。
さて、短いが少しばかり話に付き合って貰おうか。
弟よ。ココの書庫は蔵書がいっぱいで私はとてもわくわくしている。
どうせ少ししたら存在が曖昧になって私たちは消えてしまうらしいからね。
ちょっと位、盗み見たところで罰は当たらないだろう。
それではDr.Tの読み語りの始まり始まり。
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それは空の上の宙から降って来た。それは様々な色に移り変わる靄にも見える。
宙から来た色は少しずつ、空を浸食していた。それは夜の帳が下りる様に空が気付かぬ内に手遅れとなるまでに。
それはまるで劇場の演目が終わったとばかりに下ろされる幕の様でもあった。
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一番最初にそれに気付いたのは龍族だった。天を貫く程の山脈に住まう龍たちは瞬く虹彩に気付いた。
龍の何匹かが様子を見に行く事になった。遠目に見ると明滅する虹だったそれが近づくと虹ではない事が分かった。
ヒラヒラとした鮮やかな布の様なそれは龍達から見ても、とても綺麗で、花の蜜を吸う蝶の様に近づいてしまった。
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近づいた龍達は大地へと墜ちた。薔薇の棘の様に美しさに隠れた刃によって龍達は墜ちていった。
触れるモノを切り裂き焦がしながら。空を覆う幕は下りていく。何故、その星にそれが来たのかは分からない。
その色からしたら、そこに丁度あったからとでもいう様に。
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空を飛ぶモノたちはその神秘的なベールに引き寄せられ墜ちていく。
地上では地上を生きるモノたちが空を見上げていた。
龍は危険が近づいている事を伝えるが対策が取れずに空は墜ちた。
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空を制圧し、星の表層へとたどり着いた色は星を削った。
地は切り刻まれ、海は蒸発し、削られて行く。
建物は崩れ、種を植える前の畑の様に耕され、船は渦潮により水中へと引き込まれて塵となる。
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廃墟が重なり地上で動く物は居ない。海は蒸発し、大部分が剥き出しとなっている。
それでも星は生きていた。表層で生きるモノは居なくとも地下深くと深海部分には生きているモノ達が居た。
最初からなかったかのように星を覆っていた色は姿を消した。
生きていた生物達は、また空を見上げるだろう。
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――――年――/―― 惑星テーゼの恒星風の被害規模
生き物が住んで居た惑星テーゼが恒星風によって壊滅した。生物レベルは高かったが、恒星が近かったためか恒星から放たれた風は星に直撃した。
力を持つ聖獣が少ないタイミングだったのも壊滅の原因の様だ。
恒星風は星に近づくと龍の影響で停滞、龍が全滅した事で解放され惑星の表層を根こそぎかき回した。そう推測される。
恒星風による嵐が終わった後、生き物の反応が確認された。どのような手段で生き残ったかは想像も出来ないが、文化レベルは著しく下がったと言えるだろう。
___終幕
つまりは天災か、オーロラって綺麗なのに危ないものなのか?大気圏どうしたよ。
恒星……つまり太陽の風。プラズマ纏った磁気嵐が星に直撃しちゃったって事か。
鳥とかは磁場が狂うと方向感覚おかしくなるって言うし自分から引き寄せられた理由はソレか。
龍も狂うのかね?太陽風……聖獣が少ない=大気圏が薄いって事なのかも知れんね。
あぁ、大地の時の聖骸は大気圏は無理でも周辺に防護壁とか作ってたんだろうか。
大海の方は聖獣が主役だったのかな?空の担当は龍だけど全滅してしまったと。
あぁ、龍が大気圏の様な役割だったけど突破されてしまったって事か。
ん?我が弟は満足したようだ。次はどの頁を捲るとするか。
クトルゥフ、H.P.ラヴクラフト作品から、宇宙からの色、異次元の色彩をオーロラと合わせ捏ねたモノとなっています。
オーロラの原因となる太陽風がもし地表まで届いたらと考えた場合、太陽フレアだし焼き尽くすのかなとも思いましたが、磁気嵐とプラズマによる鎌鼬被害に落ち着きました。被害甚大ですが。
この世界では龍達は大気圏を維持する代替生物としました。オゾン層を破壊しながら徐々に浸食した太陽風はオーロラの様な現象とともに磁気嵐プラズマによる龍達の撃墜、まるで夜の明かりに群がる蛾の様に雷によって焦がされ地面に墜とされました。
海の状態は洗濯機の様な状態を想像してください。
さて、解説は程々に今回はここまで、最後に一つ、報告書を作成してる人物は色に襲われ報告書だけが書庫に現れました。書庫は関連物の収集も気まぐれにしてくれます。
誤字脱字が無いように気を付けてますがありました。報告してくれた方に感謝を、それでは皆様また次回。