3話-3
「ペタンク?」
チョコが引いたカードには「ペタンク」の文字が書かれていた。餅を投げつける遊びか何かだろうか?
「おお、ペタンクか。当たりだな」
「朱雀先輩、適当云わないでください」
おどける古都会長をチョコが嗜めている。おお、会長相手に躊躇ないな。
「別に適当じゃないぞ。よし、説明をする。
ペタンクは南フランス発祥のスポーツで、『両脚を揃える』という意味の『ピエ・タンケ』から名付けられた。その名の通り、小さく描かれたサークルの真ん中で脚を揃えて、鉄の球を目標物の近くに投げるスポーツだ。云ってしまえば、投げるカーリングだな。
錆びず破れない為、芝生や土、海岸など何処でも行われるが、屋内だと、たまに床が傷つく。鉄製で少し重みがあるからな。屋内で安全に行いたいのであれば、イタリア発祥の似たようなスポーツにボッチャがある。あちらは球が軽いのでお子様でも安心してできる」
すらすらと説明を続ける会長に感銘を受けた。箱にある何十と入っているだろうカードに書かれた対戦内容の一つ一つをこの人は云えるのだろう。蘊蓄を混ぜた彼自身の言葉でされる分かりやすい説明は、聴く者に理解と興味を与える。生徒会長という校内をまとめ導く立場だからこそ、普段より努力を重ねているのだと思う。
「ぶっちゃけ、こないだ寝付けずにつけた深夜番組でやってたから、適当に入れといた。まさか本当に選ばれるとはな」
……これがなければ。
「昨今マイナースポーツ、またはニュースポーツと呼ばれる競技人口が少ないスポーツが、何処かの国で生まれ、その競技人口を徐々に増やしていって今では世界中に競技者がいるようになった。
日本では、ゲートボールに始まり、アルティメット、カバディ、果てはマグル・クィディッチというファンタジー派生のスポーツまで出てきた。世界大会が開かれ、世界一の座を目指して皆が研鑽しメジャースポーツに劣らぬ白熱した戦いがそこにある。
なにより、マイナースポーツはメジャースポーツに比べ、圧倒的に自分がプレイする。テレビ中継をぼぉ〜としながら眺めるのではなく、会場に行って自ら参加する事で、体育のように受動的ではなく、能動的な経験が自分が参加する事の意義をより深く感じさせ、たちまち虜になる。競技人口も少ないので、新たなルールを仲間と一から覚えるという新鮮さもあるぞ。
なので、対戦形式が毎月異なる『下克上』にうってつけだと思い、入れてみた。
ひと月あるんだ。ゆっくりルールを覚えて、しっかり練習すると良い」




