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花束を持って、君と  作者: 雲雀ヶ丘高校文芸部
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2話-24

「ここで、今朝のダイジェストをご覧いただきましょう! こちらです!!」

 今朝の私たちと、羽月さんたちの様子がモニターに映し出される。私と伊吹先輩はそれぞれ衣装を着て、雪が吹雪く中せっせと雪かきをしている。──まだあまり積もってない為、様子見で動いていますが、動きが固いですね。

 羽月さんたちは、なんと雪だるまを作っていた。雪合戦をしたり、二階から競って飛び降りて遊んでいる。変身していないととてもできない遊びだ。ああ、スノーモービルが近づいていく。生徒会の方でしょうか。二人が怒られて謝っている様子が映し出される。映像が映し出されたタイミングで、隣の教室からどっと笑い声が響いてきた。

 私はそっと教室を抜け出した。映像に私と伊吹先輩が映っているのをみて、教室内の視線が集まってきたからだ。

 廊下に出ると、倉多さんがついてきていた。

「二日間も続くから、ダラけて盛り上がりに欠けると思っていたんだが、案外盛り上がっているな」倉多さんは壁に寄りかかると、下を向いたまま呟いた。

「そうですね……」

「松本先輩がまさか舞咲さんにご執心(しゅうしん)とは思わなかったぜ。」

「な、な、な。ちっがいますよ!」

「おや? 案外そちらさんもその気かな」

倉多さんがニヤリと笑みを浮かべる。それでからかわれていると気づいた。私は皺の寄ったスカートをはたいて、照れを隠す。別にやましい事はないのだ。堂々とすればいい。

「先輩は好意で手伝いを申し出てくれただけです。私たちは別にどうこういう関係ではありません」

「昔から通っていた馴染みのお店の一人息子と、アルバイトを通して距離が近くなっても不思議じゃないぜ」

「な、な!? どうしてそれを」

「あのな……情報戦は松本先輩の専売特許だが、他の誰かがしないとは考えないのか? 俺は真央が勝つ為なら何でもするぞ。入学式に約束したしな」倉多さんはそっと右手の小指を立てて、指切りのポーズをとる。

 その時、隣の教室から春日野さん、上原さんとその彼氏の水谷さんがやってきた。

「まぁ待てよ、チョコ。真央だって悪気はないんだ、ただ頭が悪いだけで」上原さんが春日野さんの背中に声をかける。

「だから私云ったんですよ! 飛び降りはやりすぎですって。現に怒られたのが全校中に放送されちゃったじゃないですか!! あ、あなたがしっかり見てないからですよ、修弥さん!」倉多さんを見かけ、怒りの矛先を向ける。

「おいおい、俺はあくまでもブラスバンド部員だよ。今朝の失態は、同じ陸上部員であり真央と一蓮托生のバディのお前の役目だろ?」

「相変わらずの煽り体質ですね! 振り回され続けるこちらの身になってくださいよ!?」

「おーおー、やれやれ!」上原さんがペットボトルを振り回してはやしたてる。

「修、チョコの言う通りだぞ。ブラバンでお前に振り回されてる俺には、共感しかない」

「頭に変な触覚つけて騒いでた原始人は黙ってろよ。それに、今朝の絵茉との事バラされたくなかったらな」

「ぐぬぬ」上原さんとの事を持ち出されて、彼氏さんはあっさり黙ってしまった。

 悪魔だ……ここに悪魔が立っている。何故この人は常に偉そうなんだろう。すぐマウンティングをとるのだろう。伊吹先輩と正反対だ。

「……正反対で悪かったな」

 ゾッとした! なんで分かるの?

「舞咲さん、この人と一緒にいても絡まれ続けるだけですよ。あっちいきましょう」

「あ、えと……ごめんなさい」

 春日野さんに手を引かれてその場を離れた。倉多さんが怖くて思わずごめんなさいと云ってしまった。そして、伊吹先輩と比較した事も思い出した。

 伊吹先輩──、私たちは別に違いますよね?


⭐︎


「あれ? チョコは?」

「今しがた修に絡まれていた舞咲さんを連れて二人で逃げていったぞ」

「修弥の遠慮のなさにあたし以外全員ドン引きだった。あたしはダメージなし」

「俺はお前のとばっちりを受けて、少し傷心さ」

 一体何があったんだろう。チョコが飛び出して行ったのは見ていたのだが、その前後が分からない。

「私は最近漫研の会長がおススメしてくれた、煙突掃除夫の男の子のアニメを観ていたんだけど、急にチョコが立ち上がって、叫びながら出て行っちゃったんだよね。絵茉も大和もついていっちゃったけど、アニメの方が山場だったから、終わりまで観ちゃった」

「そのアニメは、教授とのやりとりがいいんだよな」

「修弥、真央の話に付き合わないで。

 昼休みにモニターで対戦の様子がダイジェストで放送されてたのよ。んで、あんたたちが雪へダイブして生徒会に怒られている映像が流されたわけ」

「あちゃ〜。あれはジャンプが不安定で変な体勢になっちゃったから、放送するならやり直したかったな〜」

「……そんな事云ってるからチョコが愛想尽かすのよ」

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