28/436
1話アフター
「部長、今日は何しますか?」
「そうだね。いつものようにランニングしてから、種目別にタイムとっていこうか」
私は部室の真ん中にあるテーブルにうつ伏せている。お尻を乗せたパイプ椅子がぐらぐらしている。そして、ただぼぉ〜と目の前でやり取りする二人を見ている。
真央さんが私に勝利した事で部室が広くなった。彼女の希望が部室だった事と、同時に彼女が入部するという事で新たに造られた部室棟の一室を使用することになった。
真央さんは初日からあっという間に皆に溶け込んで、部長とも仲良くなり今では皆の練習プランを作成してくれる。他の部員も前より活きいきとして、彼女を中心に、熱心に練習に打ち込むようになった。私だけが時の狭間に取り残されたように、実感がないまま数日が過ぎていった。今や私より馴染んで主導権を握っている真央さんは楽しそうで、対して私は抜け殻みたいになっている。
──どうしてこうなった?