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花束を持って、君と  作者: 雲雀ヶ丘高校文芸部
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1話-18

「いえ、俺は遠慮しておきます。それに、まだその時ではないので、」

 修弥ははっきりと断って、続いて思わせぶりな発言をした。それを聞いた古都会長は、すぐさま元どおりになり、ふむ、とつまらなそうな表情で後ろにもたれかかった。

「残念だな。君ならやってくれると思ったのに」

「期待してて下さい。その時でないだけで、準備はしてますので」

「そうか。楽しみにしている。」ふふふふふ。笑いながらも二人の間に見えない火花がバチバチいってるのが分かる。大和の今後の為にも、何も起きずにいてほしい。

「よし、どんどんいくぞ。次は小峰先輩」

ショートで背の高めな、身体つきもしっかりしている女性が全体を見渡した。少し垂れ目がちで、左目の下にホクロがあり、自信に満ちた表情をしている。

「園芸部の部長、三年、小峰円です。一年生の時から三年連続で丑です。我が校は古くから植物と縁がある学校なので、日々の生活に彩を与える為にも精一杯頑張りたいと思います。その為、あまり時間も取れないので、今年も挑戦はしません。お願いします。」

 三年目になる小峰先輩からは、溢れんばかりの自信と、植物に対する愛情が感じ取られた。周りを見ると、三年生と二年生からの視線が温かい。よっぽど皆から信頼されているのだろう。部長であり丑という位置も、納得できる。

 続いて発言したのは、その隣に座っている、先程私に対してイチャモンをつけた先輩だった。名前は大沢という。

「次は俺だ。三年、格闘技研究会リーダー、大沢悠真だ。俺は園芸部を指名する。円、今年こそお前に勝つ!」勢いが凄い。隣の小峰先輩は眉間にシワを寄せながら左右に首を振っている。

「大沢先輩、それでこそ先輩ですよ。でも今年はもう三年生ですから、程々にしないと、小峰先輩に嫌われますよ」会長は去年一年の二人の関係を見ていたのだろう。まぁ、大沢先輩、試合とか好きそうだもんなぁ。

「球技部二年、宇佐見月卯(るう)と云います。今年も頑張るっス。挑戦は球技ならいつでもやるっス。十二支関係なくっス。よろしく」

 宇佐見先輩はジェリービーンズのような口をしている。半開きで、常に笑っているような。横分けの私位の髪の長さだが、もみあげは三つ編みにしている。眉毛が少し太めで、女性なのに、少し……阿呆っぽい。

「相変わらず月卯(るう)は元気いっぱいだね。二年生、消防部部長の白石紅律(あかり)と云います。学校の美化、清掃は任せて下さい。勝負はしませんが、勝負の時の安全対策は任せてね」白石先輩は、ロングの髪を片側で太い三つ編みにして下ろしている。背は高めで、背筋が伸びていて姿勢がいい。加えて優しそうな雰囲気を持つ女性だった。

「立川龍美です。二年生で、服飾部に所属しています。僕は染め物に興味があって入部したんですが、周りが女性ばかりで少し困っています」男性としては決して低くない身長ながら、その中性的な顔立ちで女性人気は高そうだ。なんだか守ってあげたくなるタイプだ。「服飾部は穏やかな部活動をしているので、今年は勝負せず、マイペースでさせていただきます」立川先輩はそう云って、礼をした。ペコリという音が聞こえてきそうなその礼は、礼儀正しく育った男の子って感じだ。

 次の人は同じ二年生でもアクの強い先輩だった。

「科学部二年の本澤だ! この学校へは科学を学びにきた! ここの科学力は凄い! 凄いぞ!」大きなキノコヘアーに丸メガネ、猫背だがのっそりしていて、白衣を着ている。最初一緒に歩いているこの人を見かけて、つい付き添いの先生かと思った。先程から凄いを連発していて、その実説明は一切しないので天才なのか紙一重なのか判断がつかない。これだけ個性が強いから十二支に選ばれたのかもしれないが、鹿の前に付く文字でないことを祈りたい。

「本澤は馬鹿だ。いや、午だ。」会長、真面目な顔で云うと、本気か冗談か分かりませんよ。

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