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花束を持って、君と  作者: 雲雀ヶ丘高校文芸部
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1話-17

(しゅうちゃん、これってしゅうちゃんが求めていた展開なの!?)

 朝から連続で、考えつかない事態が起きている。部活が決まっていた事。内緒にされた事。猫耳が生えたり、修弥にネズミ耳が生えたり。校内の視線を集めて、気がついたらクラスメイトと入部を争って勝負する事になってしまった。

「よし。なら今月のヒアリングを始めるぞ。十二支順に、自己紹介も兼ねて答えてくれ」

 古都会長の発言に合わせて、黒崎さんがホワイトボードの前に立ち、黒のマジックペンの蓋をキュポと抜いた。副会長の北野川さんも、書記の鈴森さんもそれぞれの用意をしている。

 トップバッターは修弥だ。

「はじめまして、ブラスバンド部所属、一年、倉多修弥と云います。子の十二支です。みんな修弥と呼ぶので、宜しければ修弥とお呼びください。

 会長、俺は十二支では一番上ですが、誰かと戦っても構いませんか?」

「ああ、いいぞ。相手は生徒会になるが」

「と、云うと?」

「いくら力を持っていても、この髪色は校則違反だろう」自分の髪を摘む会長。

「と、云うと?」

(しゅうちゃん、そこで突っ込むのおかしいでしょ)

「先程話に出た教師──いってみれば伝説の校長だな。彼の偉人伝はまだある。

 十二支は村を成長させるに充分な力を持っていたが、それらが利己的に使われたらどうする?」

「よくないでしょうね。けれど、十二支の行動が利己的かどうかは表面上は分からない」

「だからだ。伝説の校長はさらなる一手を示した。十二支の力が強いものなら、さらにその上を行くものを作ればいいと。

 彼は四獣の人形を作って、川に流した。四獣とは別名四神という、中国に伝わる伝説の霊獣の事だ」

 四獣って、あの四天王みたいな奴だろう。青龍、朱雀、白虎、玄武。

 改めて会長の髪の色を見ると、燃えた様な真っ赤な色をしている。その傍らに居る生徒会の他の人は、青と白と黒い髪。私たちの様に、力を授かってその様になったなら理解できるが、納得はしない。

 修弥も同様の考えだった様だ。「それではその髪は何故いつでも──そうか。それでその髪色なんですね」

「察しがいいな。俺たちは君たちと同じ様に姿を変える事ができる。髪色を変えているのは、この服装と同じ、我々が特権階級だと示す事で、十二支の力を支配するという宣言に他ならない。はっきりと示す事で、他の生徒や教員の安全を守っている。だから生徒会のやり方も随分と学校側からも理解をもらえてるのだ」

 十二支の力を自分の為だけに使う悪い人間がいるのかもしれないし、過去に実際に存在したのかもしれない。その度に生徒会はその力を行使して、学校中の信頼を得てきた。その結果、この高校は部活で成果をあげてきたのだろうし、独特の部活のシステムを構築する事で、揺るがぬ基盤を築き上げたのだと思う。

「なので、だ。一番上にいる君に唯一挑戦権がある。今の我々のやり方に不満があるなら、異議を唱えてくれ。だがな、俺は強いぞ」

会長は不敵に笑い、背後に渦巻くオーラが現れた。黒目が縦に伸びて、眼の色が金色に輝いている。まるでいつでも来いという様な佇まいで、座って修弥を見ているだけなのに、緊張が部屋中を包んだ。

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