表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花束を持って、君と  作者: 雲雀ヶ丘高校文芸部
173/436

6話-10

 ──翌日の放課後。

「仕事はあらかた片付けたか?」

「まだこれだけあるよ。どうすんだよ、これ」

 呆れた顔で両手を広げる女子部員。

 女子部員の目の前には、昨日の半分程の仕事が残っていた。

「これくらい大した量じゃない。君たち!」

「「はい!」」

 女子部員の見ている前で克馬と助手たちが動き出し、あっという間に仕事を分担し取り掛かっていく。

 呆然としている女子部員の袖を引っ張って、克馬が彼女にも仕事を割り振る。

「君はこれだ」

 渡された仕事を見て彼女は驚く。ちょうどこれから自分が行おうと考えていた仕事だった。

 その日はそれぞれが抱えた仕事を消費していって、そのまま部活が終了する。

 克馬は助手たちと女子部員を周りに集めた。

「おっほん! では、これから新しい仲間を紹介する。第六の助手を務める、彩乃(あやの)君だ。

 彩乃君。僕らは皆僕らだけでいる時は下の名で呼び合う。僕の事は克くんと気軽に呼んでくれ」

「呼ばねえよ!!!」

愛美(まみ)」「日奈子(ひなこ)!」「(つよし)だ」「丸の事は丸と呼んで!」「こいつは丸三郎! 俺は(りょう)!」

「……あぁ、よろしく」

 彩乃は次々と出された手と握手をする。最後は嫌そうにだが克馬とも交わした。

「彩乃君には主にスケジュール管理や折衝役を担当してもらう。後は雑務だ」

「雑務?」

「つまり何でも屋って事です」

「頑張って下さい!」

「頼りにしてますよ」

「コクコク……丸も」

「よかったぁ。今まで一人で仕事を抱えて大変だったんだ」

「大船に乗ったつもりでいるぞ! これからよろしく、」

「「お願いしま〜す!!!」」

 克馬を筆頭に皆で口を揃えて頭を下げる。

「ちょっ、まっ! ちょとまてよっ!!」

「そうだ。これを渡しておこう」

 克馬は側に置いてあった荷物を左手で拾い、右手で懐からもう一つの荷物を取り出した。重ねて渡す。

「これは……」

「白衣と丸眼鏡。助手の証だ」

「いや、いらねえよ。おいっ! 離せっ!」

 助手の証を返そうとする女子部員を、周りにいた助手が取り押さえて着替えさせる。眼鏡を変え白衣を着た彼女は、他の部員と遜色ない見た目になった。

「うむ。意外と似合ってるな。よし!」

「てめぇら……いい加減にし、うむ゛っ!」

「これからよろしくね!」

 ハイテンションな日奈子に急に抱きつかれ、胸を圧迫される新たな助手。

「では! 今日は解散! 明日からまた頼む!」

「「ありがとうございました〜!!!」」

「おいっ! ホント待てよな!! おいってば!!!」

 抱きつかれたまま身動きができず、その間に皆帰っていく。

「じゃ。また明日ね! 彩乃ちゃん!」

「……」

 そして日奈子も帰っていって、彩乃は一人残された。

「……疲れた」

 ──こうして、この日は解散となった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ