1話-14
「子供は云った。十二支の動物は神様の元へいくんでしょう。なら、僕らで十二支を作って手紙を届けようよ。それなら神様に届けてくれるかもしれない。
その事を聞いた教師と学生たちは、僅かな望みでもあればと縋る思いで子供たちと一緒に藁や枝などで十二支を作り、中に手紙を畳んだものを忍ばせた。それを見た他の村人が手を加えて、とても豪華な服を着た、十二体の立派な動物ができた。
十二支の人形を神棚に置き、村人全員で祈った。その後、教師と学生の手で荒れ狂う川に流した。すると──すまん、ちょっと待ってくれ」古都会長はお茶を一口飲む。「もうすぐ終わる。川に十二支の人形を流すと、教師は手を合わせて祈りを捧げた。次の瞬間とても大きな雷が鳴り、そこを中心に雨雲が開け、間もなく快晴になった。
で、感謝した村人たちは再び十二支の人形を作り、学校中に置いて時折手を合わすようになったとさ。おしまい。」後半は随分巻いてたなぁ。
「その後、生徒の中から十二支の力を発揮する者が出てくるわけだ。その力を使ってこの村は大いに栄えた。やがて十二支が毎年一人ずつ現れるようになり、段々と増え、今では全生徒の中から毎年ランダムに選ばれた十二人が力を得るというわけだ。ランダムといっても、一定の法則があるみたいだからな。
ここからが本題だ。
毎年、十二名の生徒が十二支の力を得る。基本的に大きいグループや大きな成果を挙げた組織順に十二支が決まる。今年で云うと、去年一番大きな成果を挙げたブラスバンド部が子で、結果が出せなかった陸上部が亥だ」亥と云われたとき、春日野さんの背中がびくっとした。
「ブラスバンド部には今年も頑張って貰いたいし、その他の部活にも勿論成果を上げて欲しいと我々は思っている。十二支の力を使って各部活を盛り上げてやってくれ。
そして、十二支には役割がもう一つある。それがこれだ!」
会長は巻物を取り出した。