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花束を持って、君と  作者: 雲雀ヶ丘高校文芸部
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1話-13

 体育館から渡り廊下を渡って、会議室へ。北野川さんが鍵を開けて、扉を開いた。中にはロの形にテーブルが並べられ、椅子が四つずつの十六脚。壁際に古びた緑色の三人掛けのソファーが一つ。その横に棚があり、資料やティーセットがしまわれていた。

「お待たせしました。こちらへ、どうぞ」

 北野川さんは上品な仕草で椅子を指し、上級生は慣れた様子で、下級生はそれに続く様に椅子に座っていく。私たちもそれに倣おうとしたのだが、

「なんだか、椅子が足りませんね」と春日野さん。

 そう、椅子の数が足りないのだ。

「羽月さん、君はソファーに座ってくれ」生徒会の一人、唯一黒髪の男性からそう云われた。

座って見るとクッションがくたくたで身体全体が沈む。皆と比べて少し視線が低くなり、慌てて私は背筋を伸ばした。

「まずは改めて、本校二年生の、生徒会長の古都だ。いつもの感じで話すので、全体に対しての敬語は控えさせてもらう。北野川」

「二年生の北野川です。生徒会副会長を去年より務めさせていただいております。黒崎さん」相変わらず綺麗な声をしている。涼しげな表情が、その口調とよく合い、大人っぽい。

「三年生の黒崎です。経理担当してます。よろしくお願いします。鈴森、しめて」黒崎さんというのか。大和と一緒でまとめ役という印象を受ける。背が高い所も似てるけど、大和が坊主なのに比べて、こちらは短いながらもふさふさだ。

「はーい、一年生の鈴森と云います! 書記してます。今からノートとりまーす!」おもむろに鞄をがさごそしだして、そこから出したノートに何やら書き始めた。が、横から黒崎がダメ出しをしていて、トライアンドエラーで書き留めている。

「鈴森は今日が初日だから、許してやってくれ」会長がすまなそうに云うが、生徒会も部活と同じ新入生を入れるとは。

「さて、本題に入る。今年も去年に比べて遜色ない、多様性のあるメンバーが選ばれたと思う。こればっかりは毎年恒例の『神頼み』なので、この面子に決まって心から嬉しい。それに今年はイレギュラーがいるしな。なぁ、倉多」「何の事ですか?」

 古都会長が話を振るも、修弥はそっぽを向いてとぼけた。

「思い当たる節がないなら、まぁいい。知ってのとおり、今回呼ばれた君たちは、今年度の十二支に選ばれた生徒になる。その事は非常に喜ばしいが、一年生の中には、それで自分が何をすべきなのか分からない生徒がいるはずだ。それを順を追って話したいと思う。

 まず、昔ここは村の真ん中にある学校であったが、通うのは主に小学生になる位の子供だった。私塾に似た感じで、教師がいて、教師と共に教える学生が複数人いた。この学生たちの年齢が今でいう中学生や高校生だな。彼らは教師に勉学を習い、そして下の子にそれを教える事で成績を伸ばしていった。

 他には、勉強に関係ないことも色々やった。魚や動物を捕まえてはそれを育てたり、山中の植物を庭に移して、育つ様子を観察するといったこともしていた。それらは生きる為に必要な事で、同時に、似たような事は誰もが家の手伝いで経験していた。

 ある日、大雨が降って川が氾濫し、大量の土砂が流れ村中が被害を受けた。家畜は流され、野菜は痛み、これが何回か続き村人の心は次第に消耗していった。

 ただ、子供たちは元気いっぱいだった。子供なりに感じた事もあったと思うが、日々を精一杯楽しんでいた。流された柵を直し、魚の罠を仕掛けにいって、甘い蜜のでる花を探し回った。そして、ある日子供の一人がある事を提案した」

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