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花束を持って、君と  作者: 雲雀ヶ丘高校文芸部
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1話-12

 月曜の朝は全校集会。体育館で全生徒、全教職員が集まって朝礼をする。

 季節の変わり目は体調に気をつける事。いよいよ授業が本格的に始まる事。中間試験と期末試験があるので、勉学を疎かにしない事。それらをサクサク説明して、校長はこう告げた。

「では、次は部活動についての話をします。生徒会長」校長はマイクをスタンドに戻すと、階段を降りていく。と、入れ替わる様に横の幕の方からブレザーでなく、学ランを着た生徒が現れた。それも、白い学ランである。

 この雲雀ヶ丘高校は少し変わっていて、男子はブレザー、女子はセーラー服なのだが、生徒会は男子が学ラン、女子がブレザーなのである。そして、生徒会服は支給されて、その色は白い。つまり、目に見える特権階級ということになる。

 会長は白い学ラン。首元には生徒会の証である丸生バッヂ。大きめの切れ長の目をしており、甘いマスクに大勢の女性がうっとりするらしい。そして、髪の色は……赤い。

 訳が分からない。赤い髪の毛は校則違反ではないのだろうか。まぁ生まれつき色素が弱いのかもしれないし、「赤毛のアン」も確かに赤かった。ハーフという線もありえるし、なんらかの人に云えない理由があって学校側も納得しているのだろうと考えた。

 が、会長に続いて歩く三人の姿を見て、私は心の中で(アウトー!)と叫んだ。三人の内背の高いショートの男性は黒だったのだが、後の女性二人が白と青だったからだ。

 これには他の生徒もざわつ……かない。あれっ? これ変に思うの私だけなのかな? それに、会長たちが登場してから周りからチラチラこっちを見てくる視線が痛いんだけど。今私関係なくない?


「会長の古都です。本日は先週お話しました部活動の入部に関しまして、審査と協議の結果、無事入部手続が終えられましたのでその報告をさせていただきます。

 先週末提出していただいた入部希望書は無事集まり、審査──これは、希望書に書かれています第一希望から第三希望の順番ですね。それと希望理由。さらには見学時の部長及び顧問からの印象も聞いた上で審査しました。

 そして協議──こちらは、生徒ではなく部の方からどうしても入部していただきたい生徒がいた場合相談を受けたり、あとは適性チェックですね、これらを我々生徒会と各部活の部長が集まって話し合い、該当する生徒へ個別に連絡をとり対応するというものでした。

 よって、この報告を以って今年度の部活の部員数は決定とさせていただきます」

 生徒会によって、各部活に所属する部員数や、適正に合わせた部活に入部させる事を決めるのだという。これに私は首をかしげた。部員数を決めてしまっては、あぶれた生徒はどうなるのだ。適正に合わせたところで、本当にその部活に興味があるのか。

 しかし、その事に対して直接文句を云う生徒は現れなかった。その事は事前に質問の場を設けたのだろう。そんなことでも私は置いてけぼりにされている。

 この高校があらゆる部活で目覚ましい成果をあげているのは事実だ。なので、それは正しいのだろう。ただ、私の喉は魚の小骨刺さったかのように、何かが引っかかっていた。

「そして、今年度の部費の割り振りは、昨年度作成した予算案から決めております。各顧問の先生に渡してありますので、各部長は後で確認してください。

 私から最後にもう一つ。以下の生徒はこの集会後、残っていただきたいと思います。三年の小峰さん、大沢さん、松本さん、西園寺さん、二年の宇佐見さん、白石さん、立川さん、本澤さん、北野川さん、一年の倉多さん、舞咲さん、春日野さん、羽月さん、以上です。では、これからについては生徒会の北野川からお話させていただきます。北野川」

(私の名前? それにしゅうちゃんも)

 会長が後ろの青い髪の人と変わる。北野川と呼ばれたその人は、前髪をアップにしていて後ろに撫で付けていた。首元位までの清潔に揃えた短めの髪に、涼しげで知的な目元をしていて、唇が少し厚めで、端的にセクシーな顔立ちをしていた。

 北野川さんの話は簡潔で分かりやすくて、濡らした指でガラスを撫でた時の様な澄んだ声が体育館中に響いて、マイクは必要ないんじゃないかと思った。

 彼女の話は終わり、解散した。続々と戻る生徒たちを横目に、絵茉と大和が私の元へ来てくれた。

「おいおい、大変な事になったな」

「色々と訊きたいんだけど、生徒会の髪の色は校則違反じゃないの?」とりあえずジャブを放ってみる。

「その事については後でご本人様たちから聞いてくれ。おいっ! 修!」私の拳は軽くあしらわれ、大和が離れた所にいる修弥に声をかける。「お前ふざけんなよっ。真央が何も理解してないの、お前のせいだからな。きちんと説明してやれ!」そのまま押し出され、それを修弥が軽く受け止めてくれる。

「おっと! ……大丈夫か?」

「うん。まぁ、なんとか」

「お前一人で楽しんで、俺らは全く面白くない。放課後ワケを話さなきゃ開放しないからな。いくぞ、絵茉」「んべー」あっかんべーした絵茉を引き連れて大和は行ってしまった。絵茉、小物感漂ってるよ……。


「あのぅ……」

ふと後ろを見ると、小柄な女の子がいた。目がくりくりしていて、明るめでロングの髪をしていて、見るからに元気そうな子だ。確か同じクラスだった気がする。

 その元気っ子が言い出しにくそうにもじもじとしてる。えっとぉ、あのぅ、それらを何回か繰り返して、ようやく話し始めた。

「一年B組の春日野ちよ子です。同じクラスの羽月さんですよね。それと、今朝一緒に掲示板の前で話してた」

「一年A組の倉多修弥だ」

「倉多さん。あなた方も呼ばれたって事は十二支関係の話ですよね。私は亥なんですけど」

「ああ、そうだ。俺が子の十二支、こっちは猫だ」

「猫! やっぱり!」春日野さんは目をキラキラさせてこっちを見る。

 私の目の前で先程から私の知らない話で盛り上がっている。置いてけぼり喰らってるなぁ自分。

 十二支は、干支の動物の事だろう。十二支と干支の違いはよく分からないが、動物の種類は全て云える。お話として聞いた事があるし、毎年家から出す年賀状にイラストをつけるのが私担当だからだ。

 よーいスタートで神様の元へ行くレースがあり、子──ネズミは、スタート地点でウシの上に乗り、ゴール手前でジャンプして一番になった動物のはず。犬と猿が仲が悪くて、それが犬猿の仲の元ネタだってこともわかる。だけど、猫は多分登場してない。昔父親が云っていた、十二星座でいうへびつかい座みたいなものか。サイドストーリーかなんかで登場するのかもしれないが、少なくとも、私は本編しか分からない。

 私が考えている間に会話は終わってた。

「人は誰しも不安になることはあるさ。安心しろ、俺たちは経験者だ。なんせ、猫とネズミだからな」猫とネズミなら追いかけっこが始まりそうだね。

「はい! はい! よろしくお願いします。倉多さん、羽月さん。」春日野さんはぴょんぴょんと嬉しそうに跳ねてる。なにこれ、可愛い。

「任せて、この私が守ってあげるから」「はい、羽月さん!」後輩を持つ、という事はこういう事なんだろう。同い年なのに、やけに守ってあげたくなる感じ。詐欺師にすぐ騙されそうな所、私、嫌いじゃないよ。

「そろそろ向かいます。ついてきてください」

 北野川さんの呼びかけで、私たちは生徒会の面々についていった。

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