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花束を持って、君と  作者: 雲雀ヶ丘高校文芸部
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4話-15サイド

 俯瞰で坂をジグザグと登っている二台のマシンが映されている。ドローンがぐるりと回って正面を映すと、ピンクの軽トラと透明なボールが、ぶつかり合いながら猛スピードで坂を登っている。選手同士の視線もぶつかり合っていた。時々リトルストレンヂから投げられた得体の知れない数々の障害物を避けながら、着実に坂を登ってくる。

「毎度の事ですが、この二人はいつも実力が拮抗してますね。このまま並んでのゴールとなるのでしょうか?」

 ドローンは再び上昇し、コースの外側、崖を映す。

「さらに後方では面白い現象が起きています!!! なんと、アイムハングリーの鼻先が伸びて、この九十九折の坂を縦に横断する様です!!! フロントノーズのフランスパンの両側から手が伸びてきて、崖をキャッチ!!! そしてパンと鍋を繋ぐバネが縮んで、マシンが勢いよく宙を浮かびます!!! 横断成功です!!! その鼻先をアイラブアグリとワールドチャンピオンのお尻につけました!!!」

 ドローンには迫ってくるアイムハングリーが映し出されていた。

 実際はドローンとの距離があるのだが、壁を破って突き抜けたかの様な迫力ある構図で、こちらに飛び出してきた。


「追いつきましたよー!」

 距離を一気に縮めて、一華のマシンがやってきた。

「おいおい、まさか更に順位を落とすのか!?」

「何云ってるのよ。私たちだって大分近づいてきたわよ。ほら」

 先程の急カーブを曲がって、大吊り橋迄一直線。

 円の視線の先には、第三チェックゲートと、その奥に見慣れたマシンが見えた。リトルストレンヂだ。

「やっと捉えた。そして、捕らえてみせる!」

 円はおもむろに車内に置かれている一本の枝を掴んだ。窓から手を出して枝の先をリトルストレンヂに向ける。

「『成長(グロウ)』!!!」

 円が叫ぶと、手に持っていた枝が急成長し、リトルストレンヂのトレーラーに絡み付いた! リトルストレンヂは急ブレーキをかけたかの様にがくんとスピードを落とし、トレーラーに乗っていた助手たちは反動で首ががくがくになった。

「「わわわわわわわ!」」

「……なんであーるか?」

 ゆっくりと後ろを振り返る克馬。そのキノコ頭の間から一本の螺旋の角が見えていた。

「ほぉ。良い度胸だ」

 トレーラーに絡み付いた枝を確認すると、再び前方を見て、ペダルを踏み込む脚に力を込めた。

 脚が輝き出し、ペダルから自転車全体に光が広がって行く! 

「……いくぞ」

 スタート後から溜め続けたパワーが再び火を噴く。音を置き去りにしてリトルストレンヂが前方へ瞬間移動した。

「っ!?」

 円が強く引っ張られる感覚に慌てて枝から手を離す。枝はトレーラーに絡み付いたまま太い一本の樹となっており、それを左右に揺らしながらそのままマシンは大吊り橋へ吸い込まれて行く。

「ん〜? 今度は何? !!!」

 その先を龍美のマシンが走っていた。

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