4話-12
『ニットキャップ……ですか? 視界でも塞いできたんですか?』
チョコが不思議な事を訊いてきたが、よくよく考えてみれば自分が間違っていた。
「ごめん。まだ頭がぼんやりしてるみたい。
彼らが使ってきたのはキャップニット。シソ科な植物で猫の好物。要はまたたびの代用品」
あれからいくつか試したので、真央は自分の弱点とその臭いの判断が出来るようになっていた。キャップニットは……いや、キャットニップは穂紫蘇の様な見た目をしていて、嗅ぐとたちまちに良い気分になる。またたびほどの効果はないが、好きな臭いなので思わずそちらに集中したくなるのだ。ちなみに、大人のレディーな猫しか効果はない様なので、真央は自分から大人の色気が出ていて、それで先程も修弥から話しかけてきたと勝手に思っている。
『……央さん。真央さん! どうしたんですか? またキャップニットですか?』
チョコがキャットニップをキャップニットと誤解しているが、もう訂正はしない。
「うん。もう大丈夫。やられた瞬間変身を解いて、またすぐに変身したから」
あの時の対戦が終わり次第、真央はまたたび対策にひたすら変身したり変身を解いたりを繰り返していた。
「それより、この借りはいずれ返さないとね」
『その意気ですよ! それにほら、聞こえます?』
「第二チェックゲート、四番目に通過したのは羽月・春日野ペアのプッシーキャット!
ダークホースと云われるだけあって素晴らしい走りを見せてくれています!!!」
『四位ですよ、四位!!! この調子でラクダ山も頑張りましょう!』
「そうだね! 借りを返すのはいつでもできる。とりあえず先頭に追いつこうか!!!」