コント:あぁもう、オタクと恋は難しい!!
登場人物
・オタクのたくちゃん(略称:たく)ボケ
・恋人のまっちゃん(略称:抹茶)ツッコミ
・謎の隣人??(略称:??)ボケ
設定
二人は同棲中のカップル。
日に日に増えていくフィギュアやアニメのDVDに抹茶は恐怖を感じていたが、たくは顔や性格がいいので別れようという話は二人の間に一切出てこなかった。ごく普通のマンションの部屋には整頓されたオタクグッズが沢山ある。オタクでない抹茶にとっては居心地の悪い環境であった。でも寝るときはいつも隣同士。それが抹茶にとって幸せなひと時であった――
本編
雀「チュンチュン」
朝五時になり大音量のアラームが鳴る。
アラーム「おっはよーう☆ 今日も元気にがんばろー☆☆」
アラーム「おっはよーう☆ 今日も元気にがんばろー☆☆」
アラーム「おっはよーう☆ 今日も元気にがんばろー☆☆」
(萌え系の甲高い声で何度も鳴り続ける)
雀「チュンっ!」(逃げるようにその場からいなくなる)
抹茶「ねぇたく。隣近所に聴こえてたら恥ずかしいからそのアラームやめない?」
たく「それはできないよ。これを聴かなかったら朝が始まらないよ」
(強く壁を叩く音)
二人「壁ドン!?」
(肩を寄せ合って怯えるように)
??「あのー毎日毎日聴こえてくるその声、キラリちゃんですよね?」
(ヘリウムガスを吸ったような声)
たく「いいえ、違います。この声はイズミちゃんです」
??「えー? 確かにキラリちゃんの声だと思うのですが」
たく「いいえ、イズミちゃんです。声優さんは同じですけど」
??「あ、やっぱり? 似てると思ったんですよー。すみませんー間違えましたー」
(あっはっはと軽快に笑う)
抹茶「あの……誰なんですか?」
(両者にドン引きしながら)
??「イズミちゃんでした」
(ヘリウムガスの効果がなくなりドスの効いたオッサン声に)
抹茶「すみません。あなたの名前を聞いているんです」
(早口で)
??「HN? それともアカウント名? 私には沢山の名前がありましてねぇ」
(自慢げに)
抹茶「本名を教えてください」
(無表情でさらに早口で)
??「私の本名……そうですねぇ。通りすがりの魔男子、そう。通り魔とでも呼んでください」
(ヘリウムガスを吸う音)
抹茶「いや、呼びませんし通報しますよ」
電話「ガチャ……」
(ボタンを押す音)
??「いや、ちょっと。通報はやめて? そもそもイズミちゃんのアラームのせいで毎朝気分よく起きられるんだからね?」
(焦ったように早口で)
たく「それはよかったです。今度一緒にコミケ行きましょう」
??「あ、そうですね。私、ありんこっこ。というアカウントで活動しているのでよろしく」
たく「神絵師じゃないですか! サインください」
(目を輝かせて)
??「いいですよ。今からそちらへ伺います」
(近くでドアの開く音)
(しばらくしてインターホンが鳴る)
??「もしもーし、来ました。ありんこっこ。こと山田ですー」
(大学生ぐらいのロン毛イケメン男子)
たく「山田さん。お待ちしてました。お茶でもどうぞ」
山田「女性みたいな整った顔をしていますね」
たく「あなたには敵いませんよ。だってコスプレとかしてますもん。男でも惚れますよ。僕のことは気軽にたくと呼んでください」
山田「あなたって人は……」
(たくにむかって頬を赤らめる)
たく「山田さん……」
山田「たく……」
抹茶「はいはいそのまま同人誌になってしまえ! さようなら!!」
(並べられたフィギュアを足蹴りにして玄関まで走っていく)
(抹茶の手を掴むたく)
(ドキッとする抹茶)
たく「違うんだ。あのやり取りは漫画『イズミちゃん☆今日も元気』の197ページにあるんだ。読めばわかる! 一緒に読もうよ!」
山田「一緒に読もうよー」
(ヘリウムガスの効果が切れてドスの効いた声に戻る)
抹茶「……もう、知らない!!」
二人「あ、その言葉イズミちゃんのセリフ!!」
(玄関に向かう抹茶に指をさして嬉しそうに会話するたくと山田)
「(もうオタクとは恋しない!!)」
そう決意する抹茶であった。
楽しんでいただけましたか?
私は楽しんで書いていました(笑)
※「ありんこっこ。」さんが実在するかはわかりませんが、登場するキャラクター、アニメ名は架空のもので適当に付けました。もし不備があるようでしたらお手数ですがご連絡ください。