びっくり
この作品は牧田紗矢乃さん主催、第四回・文章×絵企画の投稿作品です。
この作品は、檸檬 絵郎さんのイラストを元に執筆しました。この場を借りて、御礼申し上げます。
檸檬 絵郎さん:https://22105.mitemin.net/
単なる都市伝説。
小学生の間のうわさ話。
そんな風に思っていた。
とある寂れた公園で、ソイツは現れるという。
どこから来たのか、どこへと行くのか。
なんでそんなことしているのか、そのすべては謎だ。
俺は、それが本当かどうかという好奇心に負けて、友達の家に行くという話にして、その公園へと向かうことにした。
夜10時くらい、公園は誰もいない。
散歩している人やジョギングの人ぐらいいるだろうと思ったけど、それすらいない。
きっと、あのうわさを聞いて、気味悪がって来ないのだと、俺は思うことにした。
ジャングルジムや動物の形をした滑り台がある。
電灯は1カ所だけで、遠くになるにつれて、見えはするが暗くなっていた。
そして、ソイツが現れた。
まるで闇の中から突然出てくるかのように、どこからともなく。
上半身は人間、下半身は馬。
後で調べてみたらケンタウロスという動物らしい。
筋骨隆々で、何をするかと思って見続けていると、周りの様子をうかがっている。
そして、唐突に何かストレッチを始めた。
10分ぐらい、全身を丹念にほぐして、ようやく都市伝説になっていたことをする。
ブレイクダンスだ。
キレッキレの動きで、次々と技を決めていく。
その光景が本物かどうか、全く考えることもできない。
しかし、本物で間違いない。
夢じゃない。
いや、違うな、とか。
このほうがいいかな、とか。
そんな独り言を言いつつ、しっかりと1時間は続けていた。
そして、終わると再び闇へと消えた。
これが本当だといっても誰も信じないだろう。
でも、俺は確かにこの目で見た。
それが本当の話だ。
信じてくれなくても、俺は信じている。