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02話 死亡フラグ回避フラグ

あの後私は乳幼児ならではの有り余る時間を利用して考えに考え抜いた。




その1。まず惚れた腫れたの前に、マナーやらなんやらを完膚なきまでに叩き込むこと。


この身体はイシュタルのもので、イシュタルがイシュタルである以上、ナメられても馬鹿にされても困る。



なぜって??推しだからだよ!!!!他にあるか!?!?



外見が完璧でも中身が駄目なのは致命傷。なんとしてでも原作通りの完璧王女になってみせる…!




その2。惚れさせるってどうやるのかわからないから、とりあえず父や母、兄の惹きつけられる魅力を徹底的に真似る。


父の色気半端ないです、鶏も惚れるアレは。

…モテテクは奥深い。

ついでに言えば弟は2歳と、まだ生まれて間もないので対象ではない。




その3。死ぬほど家族に媚びを売る。


小さい身体を利用して好き好き攻撃をかけるのだ。


そもそも、これをやらなければいけない理由は、直接本編に出てこないところでのイシュタルや、その家族の設定にあった。 …そう、ここも家庭環境が複雑なパターン。



国王は人間離れした美貌に、優れた統治能力を持っていたが、「氷の王」と言われるほどに冷酷な人だった。

よくあるのは王妃には優しい♡みたいなアレだが、この国王は全く違う。絶望。


王妃とは政略結婚だったからか、そこに愛はなくただ義務的に共にあるだけ。寧ろ嫌っているほどで…ゲームイシュタルはそこの橋渡しをしていたのだ。



離婚はない。もともと離婚しているようなものだし。

けれど、会話もなかった。

ゲームイシュタル凄くない?仲良くもないのに橋渡し役なんて嫌に決まっている。少なくとも私は嫌だ。



…というわけで、私はまず先に家族大好き計画を立てた。父には「わたしお父さまと結婚するの!」とにっこり笑顔で求婚したし、母には「わたしお母さまみたいに綺麗になるの!」と、兄には「お兄さま、イシュタルとずーっといっしょにいてくださいね!」と求愛しまくった。



…その努力の甲斐あってか、家族は私を溺愛するようになった。かわいいもんねわかる。いや、ここまではいい。




ただ問題なのは、

6歳児にして…自由な行動が取れなくなったことだ。




「殿下、畏れ多くも発言の許可を願います」


「どうぞ」


「…その、殿下は一体何をお調べで?」


「下町情勢」




そう、今話している人がいい例だ。

攻略対象のウィリアム・シューベルトが早くも近衛になった。黒髪に紫の目の彼である。原作開始よりだいぶ前ということで、彼はまだ騎士団長ではない。ただし若いのに腕前はトップクラス。これが攻略対象補正か…!くっ…!


とにかく、ゲームの王女は10歳についたと言っていたので、4年も早まった事になる。正直これは誤算だった。



「…下町情勢…!?」



こうなるから。こちらとしては隠しキャラのスパイフラグを何とかへし折りたい、そのためには彼のいる孤児院を特定する必要があるものの下町にはいくつか孤児院がある…イコール??



「そう。孤児院への給金を考えているの」



個々の孤児院の金銭状況や環境を調べた上で比較、身元審査などが杜撰なところを調べる必要があった。

スパイフラグを立てた夫婦に近づけない作戦だ。


護衛がついた時、最初は誤魔化していた。


……え、だって正直下町情勢を調べている6歳児って気持ち悪くない?私だったら近づきたくない。

けれど刻々と迫り来るタイムリミットに焦って結局オープン。背に腹はかえられないよね!!


…ほら、めっちゃ頭いい6歳児ならこれくらいいるって!確定申告とかもしてくれるって!



「……それは、陛下には…?」


「それがまだなのよね…何も考えずに提案しても通る気はするけれど、お金が絡むことはしっかり状況を見極めてから話したいわ。そのためにも、孤児院が疲弊している証拠が欲しいのだけれど……あっ」


「えっ」



そういえばこの人いるじゃん。


もしかしたらもしかしない??護衛がついた事によって下町に行くこと、許されたりしない??我の近衛、将来の騎士団長ぞ??敵なしじゃない??



「…ちょっとお父さまに掛け合ってくる」


「えっ、ちょ………嘘でしょう、殿下…」



後ろからなんか聞こえるけど知らない。


確定申告って面倒だよね

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