無表情の仮面が剥がれるとき
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「はっ?何を言ってるんだ?10回連続で当てるのなんて不可能に近いぞ?あの双子は、外見も声も全部同じなんだぞ?」
唐突な悪野の発言に、森林は驚きを隠せずには居られなかった。
それだけに彼の言ったとこは異常であり、共感出来るものでは無かった。
「でも、あの2人は全然違うけどなー」
「「本当に分かるの??」」
「えっ!?」
悪野が、森林の発言に不満を持っていると、遠くに居た筈の神ノ家の双子が目の前に現れる。
彼女達は、悪野の顔をジッと見つめて視線を動かさなかった。
「勿論分かりますよ!1度だけお名前をお聞きしても宜しいですか?」
「私は椿」
「私は楓」
2人の透き通るような声に癒されながらも、悪野は名前を覚えた。
「「じゃあ後ろ向いて?」」
悪野は双子の言う通りに後ろを向き、指示を待つ。
「「こっち向いて。」」
指示通りに、双子の方へと向き直り2人を見る。
「私は誰?」
並んでいる内の右の双子が声を出す。
「椿さん。」
「「っ!」」
悪野の迷いの無い答えに双子だけではなく、周りのギャラリーもざわめく。
「「また後ろを向いて。」」
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この後、悪野は永遠と答え続ける。明らかに10回以上は答えたが、双子が止まらなかった。
「「じゃあね。」」
20は軽く越えた辺りで、いきなり打ち切られて去っていく。
悪野は勿論の事、周りのギャラリーもポカンとしていた。
「まぁこんなもんだ。気を落とすな。」
森林が後ろから、肩を叩きながら悪野を慰める。まるで彼が失敗したかのように。
去っていく双子の顔は、とても嬉しそうで楽しそうで幸せそうだった。