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迫り来る恐怖
彼は、息を潜めていた。
何かから隠れるように。
小さく呼吸をする。最低限の呼吸で、最大限の酸素を得るために。
彼の額から緊張のあまりか冷や汗が流れる。落ちる汗を慌てて掌で受け止める。
奴らはこんな些細な音でも気付く可能性があるからだ。
「ふっ。」
道太郎は、何故自分がこんな目に合うのかを真剣に考え、考えるのが馬鹿馬鹿しくなり笑った。
それらが来るのを覚悟で。
遠くから、死神の足音が聞こえてきた。先程の笑い声を聞いたのだろう。
足音は少しずつ大きくなり、自分の隠れている前まで来た。
『ご主人様。おはようございます。』
そこには、美人の双子のメイドが立っていた。
彼は、何故こうなったのかを本気で考えた。