-for her birth
黒田は、ルイーズと名乗る女の能力について考えた。今ある手がかりは、殺したはずのジャックが別の姿、ルイーズになったということ。このまま殺しても、再び別の姿になる可能性があった。そのため、下手に殺すこともできない、そんな状況だった。
「らしくないよ。千鶴!」
「あ…、ひまりっち!?どうしてここに…?」
観客席に現れたのは、聖女こと海部陽葵だった。別の姿を表す能力者を前にした黒田は、唐突に現れた彼女を疑わざるを得なかった。無理もないことであったが、多少海部は残念そうにしていた。しかし、彼女は黒田に向かって叫ぶ。
「やっぱ…記憶改竄なんて回りくどい方法とったのが間違いだったかな…。よし、ごめん!!!!待った!!!!?????」
「いや!!!!!今来た所っす!!!!????…この感じ…、ひまりっちっすね!」
「オッケー!!千鶴はジャックを倒すことだけを考えて!復活するなら、復活しなくなるまで、やっちゃえ!!!千鶴!!!」
「りょーかい!!!」
疑念を振り払った黒田は、ルイーズに切りかかる。その一撃の脅威を知っていたかのように、ルイーズは魔法による抵抗を選ぶのではなく、ある攻撃を選んだ。
「ミスクロダ!貴方の大事な女を殺されたくなければ、自分で死になさい!」
その攻撃とは、脅迫であった。ルイーズにとって、突如現れた黒田の友人は、か弱い獲物でしかなかったのだ。容易くルイーズは海部を拘束し、海部の背中に手刀を抉り込ませる。
「うぐうぅぅ…ハっが…これ、死ぬ……脅迫にならなイギい!!」
「おとなしくしなさい!」
「ひ…ひまりっち…」
絶体絶命の危機。黒田の強さと、そこに現れた友人。その二つが重なった結果生じた悲劇だった。黒田の考えでは、このままでは間違いなく海部は死ぬ。しかし、だからといって脅迫に従ったところで、海部が助かる保証もない。その状況下にあって、激痛を感じているはずの彼女が笑っていた。そして、海部は、驚きの行動に出る。
「さく…リファイス!!!」
その言葉とともに、海部の左手が根本から千切れ、2人の背後に飛び、爆発した。爆発をもろに受けた2人は、全身を火傷と傷だらけにしながら、黒田の目の前に、鈍い音を立てて落下した。
「めちゃくちゃっすね…ほんと…。魔法にしても、もっとマシなやり方ないんすか?チート能力持ってるからって…。ともかく、ただおねんねしてるコイツはどうしてやるっすかね…?」
「チート持ってるからこそだよ。私は治せるから…、ほら治った。ジャックは…少しだけ治して…。あとは、魔法を使えない所に、ギャグボール噛ませて、拘束して…閉じ込めて…。ごめん。血、ないわ…きゅ〜……」
「ひ…、ひまりっちいいいいいッッッッッッ」
帰ってきたアイツ




