His Death
風間が意識を取り戻したとき視界に映ったのは、剛腕を黒田に振るう巨人と、魔法や銃で黒田を攻撃する男と、彼らに対して防戦一方の黒田だった。次に見たのは、もはや破壊され、観客のいない会場の残骸。
「クロダァ!またしても、またしてもワタシたちの邪魔ォ!!ダァイッッッッ」
「ジャッククルーニー…。さっきからそればっかじゃないっすか…っ。はぁ…、ドラッグのせいかなにか知らないっすけど、キモさに磨きがかかったっすね…」
本気で怒りを露わにするジャック、それに対して侮蔑をあからさまに顔に出す黒田。風間はこの問答で、ほとんど体を動かせない自分が何をすべきか悟り、手元にあった何かを黒田に向けて投げ飛ばした。
「風間サン!ナイスっす!!」
それは、試合開始とともに脱落した選手が持っていた、鞘に収まった刀であった。
黒田は背後から飛来してきたそれを、左手で鞘を背後へ弾き飛ばし、先程鞘を弾き飛ばした左手で、今度は刀の柄を握り、そのまま巨人に向けて振り切った。
「アゴォ…がががが、オでのから、カラダが…まっぷタツ…」
その一刀が巨人に、下半身との永遠の別れを告げさせる。黒田は杖を地面に置き、両手で刀を構える。そして、その刀の切先は、今度はジャックに向けられた。
「今度こそ、千鶴が責任持って殺す。テメーがテメーでケジメを付けなかった以上、殺す。黒田家を舐めるのもいい加減にしろよ。クソやろうっ、フッッ!」
黒田が刀を振るうと閃きがジャックの体を真っ二つにした、はずだった。
「後は任せるぞ!ワタシ!!」
「は?」
断ち切られただけのはずのジャックの体は、ジャックが口を閉じると、忽然と消え去った。そこに、突如女が現れたのだ。
「あれ、白雪さん…?なんでこんな所に!?…、シッ」
黒田が白雪と呼んだ女は、黒田に氷柱を射出した。黒田は刀で氷柱を断ち切ったが、それは、明らかに殺意のこもった攻撃だった。
「シラユキ…?どなたかな。ワタシは…、ルイーズですが?ミスクロダ、これからはワタシがお相手する」
「…能力、千鶴が持ってるような…?それがあんたらの能力ってわけっすね。ジャック、いやルイーズ!」




