七話
絶望的な数のドラゴンの襲来によって混乱に陥った街で壮一はこの危機を打破する手段を考えていた。アナと凛の使える空間魔法で自分たちだけが逃げるのは簡単だ。しかし、それは街の人々を見捨てることとなるため、壮一にとっては目覚めが悪い。そこで壮一が考えついた策は何か。
ーちっ…、俺がなんとかして足止めするか。
凛とアナにはゲートで街の奴らを飛ばしてもらうか…
「凛、アナ!俺がなんとか足止めをする。お前らには空間魔法で街の人たちを安全な場所に連れてってやってほしい、悪いが頼めるか?」
「グスっ…いいけど、おじさんも一緒じゃなきゃやだ…」
「凛よ、この者は覚悟を決めておるようじゃ。安心せい、この大魔法使いアナもこの男と共に足止めをすることにした。おぬしが心配する必要はない。ルーシーに手伝ってもらい、みんなを避難させるのじゃ」
凛はその言葉を聞いて、二人の強い意思を感じた。自分が心配する必要は無い、そう考えた凛は頷いた。
「避難は私たちに任せて。おじさんたちはドラゴンと戦うことに集中してね」
「…良い子だ」
壮一は屈んで凛の頭を撫でた。そして、立ち上がった時、すでに戦士の顔をしていた。
そこにルーシーが焦った様子で走ってくる。
「姉さん!ドラゴンの大群よ!ギリギリまで姉さんのゲートで街の人たちを避難させて逃げないと!」
「おお、ちょうど良いところに来たの、ルーシー。避難は凛とおぬしに任せるのじゃ。先ほど凛もゲートを使えるようになったからの」
アナはルーシーの背中を街の中央の方に押し、凛と目を合わせた。そこには二人の決意があった。
「えっ、凛ちゃんがゲートを使えるってどういうこと?!まあ、良いわ…。姉さん死なないでよ、壮一もね…」
凛とルーシーが街の人々を避難させている頃、壮一とアナは空を飛んでいた。
「まさか、空を飛ぶ魔法なんてのがあるとはな、これで思ったよりも楽に出来そうだ。感謝する」
「これがグラビティアルター、重力を操作して空を飛ぶ魔法じゃ。どうじゃ、空を飛ぶ気分は?しかも街を救うため、ドラゴンと戦う…どんな英雄譚じゃ、文句無しじゃろ」
「フッ…そうだな」
二人は冗談を言いあうが、顔に全く余裕は見えない。死闘を覚悟しているのだ。
そこで空を飛ぶ二人を一頭のドラゴンが見つけ、すぐさま攻撃を仕掛けてきた。
「まずは一頭めだ!ハァッ!」
下から飛び上がるとともに、ドラゴンの顎に向けアッパー。グラビティアルターの加速もあり、それだけで致命傷となった。
「やるのぉ、わしもやってやるわ!」
そう言ってアナが取り出したのは鎖鎌。これを使い、巧みに翼を斬りつけてボロボロにし、地に落としていく。
順調に倒しているかに見えて、しかし、ジリ貧だった。
「壮一よ!もう魔力が少ない!グラビティアルターも限界じゃ!」
多対二という戦力差に加え、アナが二人分のグラビティアルターを維持するための魔力には限りがあるという状況。足止めできる時間は残りわずかだった。そこで壮一は最後の手段に出た。
ドラゴンの背中に乗ろうとしたのだ。
「ま、待つのじゃ、壮一!それは不味い!」
アナが注意するももう遅い。壮一はすでにドラゴンの背に乗った。するとドラゴンは怒り狂って暴れまわり、壮一を落とそうとする。ドラゴンは自分の背に何者かが乗ることを非常に嫌い、逆鱗に触れられた時と同じ反応をするのだ、アナが注意したのはこのためだった。
しかし、ドラゴンは周りが見えておらず、味方のはずのドラゴンを攻撃していた。さらに、アナは壮一がすぐに振り落とされると思っていたが、未だにドラゴンの背にいる。
ーまさか、壮一のやつ、これを狙っておったのか。ドラゴンに乗るなどという芸当をできるほど芸達者とは…。わしも乗ってみるか。
そこでアナはドラゴンの背に回り、首に鎖鎌の鎖を巻きつける。巻きつけた後、鎖を頼りにドラゴンに乗った。
「おお!激しく抵抗しよるわ、大人しくせえ!」
ドラゴンの抵抗を抑えるために、アナは"しつけ"を行い、それによりドラゴンは抵抗むなしく大人しくさせられるのだった。
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ボツにした設定で書いていたことに気付いたため、一部訂正しました。12月18日




