顔合わせ
「まずっ…逃げましょうチェアマン!」
「あ、ああ。こりゃやばい。無駄死にはしたくねえ!」
突如視界に現れたその女は圧倒的な実力を持っており、こちらは何もできない。彼らはそれを戦わずに感じ取り、逃げだした。
「逃げて、ばかりだ…全く。なんという、べきか。キャラじゃ、ない!」
「おいおい!見てみろよ、あいつ!追いかけてきてにぁーぜ!」
その言葉を聞いてカルクが振り返ると、たしかに動いておらず、視線もこちらに向けていない。何のために現れたのか、あの空間はなんだったのか、様々な疑問が浮かぶが、この場に止まってもいいことはないと考える。
「…階段がありました。あそこから上に行きましょう。風間さんたちと合流できるはずです」
「おう。ならオレはここでおさらばだ、じゃあな!!」
突如ガラスの割れる音がすると、大穴の空いたステンドグラスに向かってチェアマンは走り出し、そこから飛び出していった。
「どれだけ破壊したら気が済むんだ…あの男は…」
すぐに視線を逸らし、カルクは階段を上り始めた。
上の階に行くと、すぐにカルクは壮一たちと合流した。
「カルクじゃねえか。こっちは終わったぜ」
「そうですか…。ありがとうございます。ただ、少なくとも私にとってはまだ終わっていないようでしてね」
「どういうことだ?」
カルクは壮一たちに魔族と遭遇したことを話した。壮一は考え込み、黒田は驚いた様子を見せる。
「魔族っすか。ファンタジーな世界だとは思ってたっすが、そんな奴までいるんすね」
「ああ、あいつらは別の大陸にいるはずなんだが、こっちにも何人か来てるらしくてな。この分だと、黒田、お前らがこっちに召喚されてきたのもあいつらが一枚噛んでるのかもしれねえ」
黒田はそのことを聞いて、ある希望を持った。
「…もしかしたら、魔族を追えばあっちに帰る手段も見つかるかもしれない、そうっすね?」
彼女は元の世界への帰還を願っている。壮一はそれに気づいた。
「俺たちは魔族を追っている。俺に魔族を追ってくれた頼んだ奴は頭がいい、もしかしたらあいつなら、協力すれば見返りに元の世界に帰る手段も見つけてくれるかもしれねえ」
「その話、後にしませんか?まずはここから脱出しましょう」




