六話
姉を見つけたルーシーは姉の姿が予想通りであることに頭痛を感じていた。今までに姉には身だしなみについて何度も注意してきたが変わることはなく、今回もこうしてぼさぼさの髪に汚れた白衣を見せられたからだ。
「姉さん。髪の手入れはちゃんとして、その白衣も定期的に洗えと言わなかった?」
「ああ、言ってたの。まあ、良いじゃろ?ちゃんと風呂には入っているんじゃ」
「それは当たり前でしょ、その白衣貸して」
ルーシーは呆れた表情をしつつも白衣を魔法で綺麗にしているあたり、世話好きのようだ。
「ところで名前はなんていうの?」
「アナじゃ。おぬしの名は何というのじゃ?」
「凛ていうの。よろしく!」
2人は自己紹介を済ませ、楽しそうに話していた。凛は同じ程度の背丈のアナとは話しやすいようで、いつもより口数が多い。
「なんだ…、あんたも大変だな。あんたのほうがよっぽど姉らしい。」
白衣を綺麗にしたのち、アナの髪の手入れを始めたルーシーに壮一が言う。
「…これでも姉さんが姉なのよ」
「なんじゃルーシー!?酷くない!?」
ルーシーは無視して髪の手入れを続けた。
アナは見るからに落ち込んだ様子を見せ、凛が励ましていた。
「よし、終わったわ。さあ、帰りましょう」
「まあ、そろそろ帰るかの」
アナはそう言って手を振るった。すると、空間に裂け目ができ、街の風景がその裂け目から見えた。
「すごい、なにこれ!街につながってるっ」
凛は目を輝かせ、その裂け目を見つめた後、アナに羨望の目を向けた。
「これは、わしの空間魔法、ゲートじゃ。これで移動は楽々じゃぞ!」
「すごーい!」
凛はすごいとしか言えなくなっていた。
全員ゲートを通って街へ戻り、ルーシーは報酬を持ってくると言って去った。それを待つ間にアナが壮一に問いかける。
「そう言えばおぬしの名は何というのじゃ?」
「壮一だ…。あんた、鎖鎌を持っていたが、どこにやったんだ?」
「わしの空間魔法、ストレージで収納したのじゃ。空間魔法は他の魔法に比べて多くの魔力量が必要じゃから使える者はほとんどおらんが、こんな感じで使えると楽な生活を送れるぞ」
「私にも使える?私の魔力は多いって聞いたよ」
凛の言葉を聞いて、アナが目を閉じて言った。
「たしかに非常に多いようじゃな。空間魔法も余裕で扱えるかもしれぬ。空間魔法について教えてやるのじゃ」
二人は真面目な顔で話し始め、時折アナが実演しつつ教える。凛は早くもゲートとストレージを使えるようになったようでアナは驚いた。
「なかなか筋が良いの。別の空間のイメージで挫折する者が多いのじゃが」
「別の世界から来たからかも」
「なんと、そうじゃったか。それなら納得「ギャーーーースッ!!!」この声はドラゴン!」
その声の主はドラゴンだった。しかも一体だけではなく、大群だった。最低でも100以上はいるだろう。街は一瞬にしてパニックとなった。
「びえええええええん!!!」
凛はあまりの恐ろしさに泣いた。




