聖女との邂逅 その二
「なに?勇者として在る能力…だと。他の能力と比べて、中身がさっぱりわからん」
「あたしが調べたところだと、聖剣をどこからでも取り出せることと、技術とか魔力とかに恩恵があるみたいだけど、詳しくはよくわからない」
壮一は頭を悩ませた。魔法を使う敵に対して、これまで苦戦を強いられてきている。今回戦わなければいけない敵の中には確実に魔法を多用する敵と、さらに能力の詳細が不明な敵までいるのだ。そのことを考え、難しい顔をしている壮一に海部が話し始めた。
「勇者としての能力を持ってる…ああ、めんどい、勇者は剣道とかで竹刀振るったり、そういう経験はないみたいだから、あの技術は能力のおかけだと思う。てことは、勇者自身はある意味、能力を使ってるというより、"使われている"ような状態。本当の実戦経験を持ってるぽい風間さんならなんとかなるかも…」
「いや、勇者については奥の手がある。魔力のやつをどうしようかと思ってな。俺は遠距離から攻撃されるときつい」
「それならあたしも戦うよ。ていうかさ、風間さんの協力者って人にも協力してもらったらいいじゃん」
壮一は全く考えていなかったことを海部に言われ、面食らった。しかし、チェアマンとアレン、どちらについてもよくわかっていない。それに、海部も戦うというが、実力は不明であった。
「俺の協力者は…どんな奴らなのか、イマイチよくわかっていなくてな。海部"さん"の実力もわからん」
「わかった。とりあえず、風間さんの協力者に関しては期待しないでおくよ。あたしは能力でなんとかなるから、心配しないで」
「そうか。なら、早速今から協力者の隠れ家に行ってから、教会に攻め込む。俺の協力者はアレンカルクという男と、チェアマンて男だ。魔力のやつを頼む」
壮一は立ち上がり、出ようとしたが、海部が待ったをかけた。海部は不安を覚えていたのだ。
「情報収集もっとしておいた方がいいんじゃない?」
「情報ならアレンから聞ける。なんとかなる…はずだ」
「めっちゃ心配になってきた、大丈夫かな」
カルクの隠れ家に戻ってきた壮一は聖女について話した。カルクは特に驚いた様子を見せなかったが、勇者として在る能力については気になったようだった。
「魔力の能力を持っている者については我々に任せておいてください。チェアマンがどう動くかはわかりませんが、我々にとって有益な動き方はするでしょう。それにしても、勇者として在る能力ですか。どうにも嫌な予感がしますが、本当に壮一さん一人で大丈夫ですか?」
「最悪、逃げる」
「逃げる…つまり、戦略的撤退ですね」
大丈夫なのかこいつ




