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異世界子守道中  作者: トライド
第二部 神国ジンパク
61/122

空で

 その女は操縦室へ突然現れ、さらにアナに抱きつき、場を凍りつかせた。その女は、ノア。レイは大変そうだとは思ったが、近寄りたくなかった。誰もアナを助けず、そのまま話すことにした。

「で…、そいつはノアなのか?」

「え、助けてくれんの…?まあよい。そうじゃ、この船を作る際に、並行して作ったノア用の体ぞ。以前から試作を繰り返しておったが…あの魔族の体が役に立ってくれたわ」

「何か不穏な感じがする、ですが。ともかく、そいつはノア、ということでいい、ですね」

 アナは頷いた。


 それから、アナとノアを置き去りにし、レイたちは甲板に戻った。船の内部は船らしい物があったが、やはりそこは、船の上とは思えない場所であった。

「今日の所はこの辺にして、アナさんが使っていいと言っていた家に行ってみませんか?」

「さんせーい!」

「おい、待つんだ…。クロエ、お前もか!」

 レイは歩いて彼らについていった。しかし、3人が間違った方角に走っていることに気付き、焦りだす。そこへ、アナがやってきた。

「元気じゃのう…」

「あ、アナさん…お願いします。あの3人を追いかけてくれませんか?」

「壮一もおるんじゃ、そのうち気付くじゃろ。ところで、お主も大変なようじゃな…その大怪我、何があったかは知らんが」

 アナはレイの包帯を巻かれた体を見た。しかし、詮索はしなかった。尋ねてほしくなさそうにしているのを察したのだった。

「お主に聞いておきたいことがある」

 アナがそう言って一呼吸置き、レイに何かを言った。その後、2人はアナが開いたゲートの中へ消えた。


「全く…お前ら、好き勝手走りやがって。ここどこだよ…」

 その頃、3人は迷子になっていた。2人が壮一の上手だったからだ。魔法を使い、壮一を翻弄しながら逃げ回った。その結果、アナの言っていた家から遠く離れた場所まで来てしまった。

「おや、こんにちは。もしかしてあなた方はソーイチ様、リィン様、クロエ様では?」

「そうだけど、おじいさんは誰?」

 迷子になった彼らに話しかけたのは、あまりにもダサすぎるTシャツを着た初老の男だった。しかし似合っているのが謎であった。

「ご無礼をお許しください。私はアナトリア様の相談役を勤めておりました、クロォイと申します。以後お見知りおきを」

「そうだったのか…。実は迷ってしまってな、操縦室か…、甲板の入り口まで案内してくれると助かる」

「もちろん、構いませんよ。さあ行きましょう」



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