五話
朝食を済ませた後、壮一たちは待ち合わせの店へと向かった。そこで待つこと数分、女が到着した。
「予想より早いけど、準備は済んでるの?」
「大丈夫だ、問題ない」
街を出て目的地に向かう壮一たちだったが、小汚い格好をした男たちが現れた。
「金と女を置いて街へ帰りな。そうすれば命は助けてやるぜ」
「全く、平和な日本が懐かしいな。街から出ると盗賊なんかに絡まれるとは」
壮一はそう言いつつも一番近くにいた盗賊を蹴り飛ばし、他の盗賊にぶつけた。
「二人はもう伸びちまったようだな。お前らもやるか?」
短い時間で二人を倒した壮一に対して実力差を感じた盗賊たちは悲鳴をあげながら逃げて行った。
「あなた、躊躇なくやるわね…。もう少し大人しめかと思っていたわ」
「いや、あの手の輩は何言ったってかかってくるだろ。それなら先手必勝が一番だ」
「おじさん…、魔法少女みたいで良いと思う!」
「ありがとう。だが、最近の魔法少女は先手必勝とかやるのか…。想像しているのと違うな…」
最近の魔法少女は色々あるのだ。子供向けではないものや、大きなお友達向けのものなど。
さらに歩くこと、数時間。歩き疲れた凛を壮一がおんぶして歩き、楽そうな凛を女が羨ましそうに見ていた。そんなことがあったのち、壮一たちはドラゴンの生息地にたどり着いた。
「着いたな、じゃあ、名前でも呼びながら探すか?」
「冗談やめて、声で何体もドラゴンがやってきたら流石に厳しい。そもそも姉の名前教えてないし」
冗談を言いながら進んでいると、洞窟を発見した。人はもちろんドラゴンも簡単に入れるほど入口は大きい。
「きっとここ。姉はこんな所が好きだから。
そう言って女は洞窟に入っていく。
「お姉さん、一体どんな人なの…?」
凛がイマイチ女の姉の人物像をつかめず尋ねた。
「一言で言えば変人、白衣を羽織っていて武器は鎖鎌を持っていると思う。多分見れば分かると思うから、衝撃的な人を見つけたら教えて」
「おいおい…、いいのか?そんなことを言って…」
壮一は呆れながら、なんとなく左を向いた。
そこには幼女が。
しかし、まるで統一感のない格好をしている。汚れた白衣を着ており、右手に工具、左手に鎖鎌を持っていた。髪は無造作に伸ばされており、目は爛々と輝いている(ように見える)。
「もしかして、あんたの探してる姉は彼女か?」
そう言って壮一は女に声をかけると。
「おお!ルーシー!久しぶりじゃな!」
女…、ルーシーは予想通りの姉の姿にため息を吐きながら額に手を当てた…。