空へ
レイと話した結果、壮一たちはアマテラーを出発した。ルメシュ王国に帰ることにしたのだ。危険を冒したくないことと、アナに会ってアインスの一件を確かめたかったことからである。出発して数時間後、アナにもらったマジカルフォンが音を出して震え出した。それに気付いたレイが電話をとった。
「こんにちは、アナさん。何かご用ですか?」
「ご機嫌ようじゃ、レイ!特に用はないのじゃ。わし、というかわしら今わけあって雲の上での。お主らの血虎を使うとる馬車が見えたから電話してみたのじゃ」
レイが外を見てみると、あたりが昼間だというのに暗くなっていた。不思議に思い、空を見てみると巨大な船のようなものが浮いていた。
「…もしかして空に浮いてる、大きな船に乗ってるんですか?」
「そうじゃ!お主らも乗ってみるか?」
「あの、ちょっと待ってください。みんなに確認します」
レイは他の面々に空飛ぶ船に乗るか尋ねた。空飛ぶ船、と聞いた途端に凛が目を輝かせた。
「乗る!」
「凛が乗る、なら乗る、です」
「俺は別にどちらでもいい」
こうして壮一たちはアナの船に乗ることになった。その旨をアナに伝えると、馬車を止めるように言われた。そのまま待つこと、数分、巨大な船が地面に着陸し、その船から1人の人間が飛び降りてきた。
「おうお主ら!今、後部搬入口を開けるから、少し待つのじゃ」
「うん、わかった。気になったんだけど、この船どうしたの?」
凛が尋ねるとアナが待ってましたとばかりに説明を始めた。
「わしが直々に開発チームを組織し、設計し、秘密裏に作った空を駆る船じゃ。世界初じゃぞ!しかし…、完成直後に、しかも別の用途で使うことになるとは思わんかったがのお…」
アナは遠い目をしていた。よほど予想外なことが起きたようだ。
「何が起こったんですか?」
「…市民革命会を名乗る連中が、王都に攻め込んできたのじゃ。流石に今回の不祥事で王族は民の信用を失ってしまったみたいでの…。こっちに非があるのは確かじゃし攻撃はできん。わしらは城を捨てて逃げた。もはやわしは一般人Aじゃ」
予想外に重い話だった。レイたちの知らないうちに、革命が起こったらしい。




