盗賊団退治 その3〜12
盗賊団がアジトとしている洞窟内、そこでは惨劇が起きていた。洞窟のいたるところに血や、肉が飛び散っていた。運良く、幹部のうちの3人はこの惨劇を引き起こした者が洞窟に入ってきた時点で気づき、隠し部屋に隠れていた。
多くの人間を苦しめ、泣かせてきた彼らは今、断罪されていた。自らも恐怖に怯え、惨殺されるという形で。
幹部の男たちは、気付かれない程度の声で、久しく祈りを捧げていなかった神に祈りを捧げていた。どうか見つかりませんように、と。祈りを捧げて数分が経ち、外の悲鳴が聞こえなくなった。悪魔が去ったのかと、男たちは安堵した。しかし、岩を引きずるような音がして、男たちを松明の火が照らした。それは天からの光のようだった。
「見つけた。見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた」
それは神の恩寵だったのかもしれない。彼らの恐怖を早く取り除く、という。
「さーん、しーい、ごーお」
そして、そんな惨劇の場に似つかわしくない、幼い声が響いた。
洞窟の奥の部屋に生き残りの幹部たちが全員集まっていた。全員といっても7人だけである。洞窟の中にいた彼らの仲間たちは、既に彼らを除いて全滅していた。この脅威に生き残りの彼らは一致団結して立ち向かうことに決めた。彼らはならず者ではあったが、仲間意識はあった。恐怖は感じていたが、仇を討ちたかったのだ。
そこへ、ペタペタという音が聞こえてきた。水たまりを歩くような音だった。その音は、部屋の明かりが彼女の笑顔を照らした時、消えた。
「あはッ…あははははははははは見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた」
男たちは彼女を見て、無意識のうちに後ろに一歩下がっていた。それもそのはず、目を除いて、血をかぶっていない部位が無かった。意匠をこらされていたであろうその服は、乾いた血の色と、鮮やかな血の色で染色し直されていた。ただその目の色だけが、輝くような黄色だった。
「ろーく、しーち、はーち、きゅーう、じゅーう、じゅーいち、じゅーに」
そこへ一人の男が現れた。男は悲しい顔をして彼女を抱きしめた。彼は今、後悔していた。
その後、たった数名の、洞窟の外にいた盗賊だけが連行されていった。
脆さゆえの、成長




