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異世界子守道中  作者: トライド
第二部 神国ジンパク
51/122

盗賊団退治 その 3

「おらっ!歩け!くそったれども!」

 壮一たちの活躍により、盗賊団は壊滅した。今、数人の盗賊たちがアマテラーの街へと手錠をされ、連行されているところだ。既に盗賊に攫われた女性たちは救い出され、今は教会で保護されている。

「なあ、壮一」

 連行されていく盗賊たちを視界に入れたガルガは、壮一にあることを尋ねようとした。しかし、目で止められた。

 ーああ…、全くこれだから…。

 ガルガは聞かずともわかっていた。


「壮一、ガルガ。助けた人たちがお礼をしたいって。教会にいるから行こう、です」

 そこへ、綺麗な格好で現れたクロエ。その服は壮一が見たことのないもので、今日買ったものであるこもがわかった。

「ああ、ギルドに行くのはその後でいいな。それじゃ、行こう。…、かわいいじゃねえか。あとその服、良いセンスしてるぜ」

「当たり前、です!」


「おし、行くとすっか」


 3人が教会の近くに来ると、1人の女が扉の前で立っているのが見えた。彼女は壮一たちを見つけると、走って近付いてきた。

「皆さん!この度はありがとうございました。皆もお礼を言いたいというので、今連れてきます!」

「いや、いい。俺たちがあんたらの所に行く。座って休んでおけ」

 壮一たちが教会の中に入ると、多くの女性がいた。皆今回の被害者だ。彼女らは壮一達に気づくと一斉に礼を言い始めた。中には礼の品を渡そうとしてくる者も少なからずいたが、ギルドからの報酬があると言って断わり、その場を立ち去った。


「この街の英雄3人が来たぞ!皆拍手だーっ!」

 ギルドに行くと、今度はやかましいほどの歓声に包まれる。男の号令で、3人を除き、その場にいた全員が拍手と歓声を上げたからだ。

「…ちょっとやかましい、ですが、悪くない、です」

「だろう嬢ちゃん!オレもだ、これのために冒険者がんばってると言っても過言じゃねえぜまったくよ!」


 クロエの言葉を聞いたガルガは満面の笑みで言った。本心からの言葉のようだ。クロエも同意を示すように目を瞑った。

「ようし、ここらでやめだ!受付への道を開けろ!」


 再び、号令をした男が声を上げると、受付までの道が綺麗にできた。この状況に慣れていない壮一とクロエは、ガルガの後ろをついていった。

「皆さん、大手柄です!盗賊団の中には世界中で手配されている大悪党もいたので、報酬はドーンと上乗せですよ」


 受付に着くなり、ミリアが興奮気味に言ってきた。壮一たちは後半に驚いた。

「世界中で手配されている大悪党?誰だそいつは」

 壮一が問うと、平静を取り戻したミリアが答えた。

「あー、そこの手配書見てなかったですか。そこの左上の奴ですよ」


 ミリアが示した方向には掲示板があった。顔が描かれた手配書がいくつかある。それを見たクロエは気付いた。

「あの男、ですか。たしかスウィートと名乗ってました、私が倒した奴で間違いない、です」

「ええ、スウィートという男です。ルメシュ王国でも彼の被害にあったところは多く…、本当にありがとうございました。報酬はどうしますか?」

 それを聞いて壮一とガルガは目を合わせた。それで互いの意図はわかった。

「手配されてた奴の報酬はこの嬢ちゃんに全部渡してくれ、ミリアさんよ。俺の分はギルドの方で預かっていてくれ」

「異論はない。俺の分はここで受け取っておく」


 2人とも、自分のやってないことで報酬を受け取るつもりはなかった。そこで、クロエに譲ることにした。

「それでは、クロエさん。どうしますか?」

「ここで受け取っておく、です」

 クロエがそう言うと、大きな箱がゆったりとした速度で受付の方から飛んできた。クロエの前まで来ると、大きな音を立てて床に着陸した。

「…めちゃくちゃ重そう、です……」

「フッフッフッ…なんと一等金貨がその中には1億バリ分入っているのです!それと、銃を使われると聞いたので、セルト・ショットの名作も贈らせてもらいますよ!」


 それを聞いたクロエはその場にいた者がかつて見たことない程の狂乱ぶりを見せた。それからクロエが正気を取り戻したのは次の朝だった。

One , two buckle my shoe ...

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