盗賊団退治 その2
胸糞注意
盗賊のアジトである洞窟の近くまで来て、3人は立ち止まった。2人の見張りが洞窟の入り口にいるのに気付いたからだ。
「どうする?」
ガルガが壮一に問うと、彼は答えた。
「正面突破だ!」
壮一が見張りの前に飛び出し、遅れてガルガも飛び出した。
「そういうの嫌いじゃねえぜ!」
クロエはそんな2人を冷たい目で見ていた。
洞窟を走りながら盗賊を蹴散らしていく3人。しかし、親玉のような存在は一向に見当たらなかった。
「ガーハッハッハッハッ!そんなんじゃ相手にならねえぜ!」
斧で盗賊を倒しながらガルガは笑う。彼も強いが、仲間の2人が頼もしく、ここまで楽に来れた。
「…こういうやり方は、好きじゃないです…。あ、こっちの道の方から何か聞こえた気がする、です」
その道の先には牢屋があった。牢屋の中を見たクロエは、すぐさま牢屋の中に入っていた男たちを撃ち殺した。
「…クソっ…。胸糞わりい…です…」
牢屋の中には10人の女と13人の男が入っていた。彼女が先ほど聞いたのは女たちの悲痛な声だった。
「嬢ちゃん…。あとはオレたち任せて帰ってもいいんだぜ?」
クロエを心配してガルガは言った。彼女に見せるものではない、そう思った。
「いや、俄然許せなくなった、です。私も最後まで付き合う、です」
「あんたがいいなら、俺も気にしない」
壮一は盗賊の服を剥ぎ取って女たちに渡した。
「…あなたたちは、助けに、来てくれたんですか?」
怯えた表情で女が壮一に尋ねた。
「…いや、俺たちは盗賊を退治しに来ただけだったが、予定変更だ。他の攫われた女たちもあんたたちと同じ目にあってるかもしれねえしな」
「おう、とりあえずこいつらをオレと壮一が外に連れてく。嬢ちゃんは先に進む。そうするか、嬢ちゃん」
その問いに俯いたまま彼女は答えた。
「…わかった、です」
クロエの了解を聞き、壮一が女たちに向かって言った。
「まず、あんたらを外に連れ出す。外にいるのは俺たちが倒してるから街まで逃げてくれ」
「…わかりました。他にもけっこういるみたいです。助けてあげてください」
女たちは立ち上がり、壮一たちと歩き出した。クロエは残り、彼らが見えなくなるまで、後ろから見ていた。
「…私は………」
その小さな声は、だれの耳にも届かなかった。
目覚め




