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異世界子守道中  作者: トライド
第二部 神国ジンパク
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盗賊団退治 その1

 壮一とガルガはひとまず準備のために別れた。1時間後に街の外で落ち合う予定である。しかし、壮一は特に準備する必要はなかった。買った服を宿に置きに行くだけでは1時間も経つはずもない。


「あ、壮一。何してるです?」

 現れたのはクロエだった。彼女も先に服を買って店を出たらしい。

「暇だったんでな、ギルドに行ったら盗賊団と戦うことになった。今は相方の準備を待ってる」

「私も、行っていい、です?」

「いいぞ。一応ガルガにも確認してくれ」

「わかった、です」


 盗賊団と戦う仲間が一人増えた。クロエが来てくれるのは頼もしい。壮一はそう思った。

「あんたはどんな服買ったんだ?」

「お楽しみ、です!」

「フッ…早く見てみたいもんだ」

 思えば、クロエには食事中以外にテンションが高そうな様子を見せたことはあまりない。壮一は、服で笑顔になる彼女に年相応の微笑ましさを感じた。


 そうして1時間が過ぎ、街の外へ出た。ガルガは先に来ていたようで、退屈そうにしていた。壮一たちに気付き、クロエを見て不思議そうな顔をした。

「その子も来るのか?」

「ああ、いいか?」

「別にいいが。足手まといにはなるなよ」

「腕には自信がある、です」


 その後、3人は盗賊を討伐するために山に入った。盗賊のアジトの手がかりはないが、山道を歩いて探す。

「はあ…、安請け合いしちまったかもな…。そういや、手がかりなんてねえじゃねえか」


 ガルガは疲れた様子を見せる。盗賊のアジトは見つからないまま、山を歩き続けていたからだ。彼の武器が重いのもあり、山を歩くのは辛かった。

「そんな大きい斧を持って山歩くのはキツそうだな。だが、そろそろだと思うぜ」

「…来た、です」

 壮一とクロエにはある考えがあった。手がかりなどなくてもあちらから来てもらえばいいと。実際、5人の盗賊がそこに現れた。

「フーッ!可愛いガキ連れてんじゃねえか。そのガキこっちに渡せや」


 盗賊は女を攫ったりもしていた、と壮一は聞いていた。それをクロエも壮一から聞いて知っていたから、自分がいれば現れるだろうと考えていたのだ。

「…お断り、です。お前らには、アジトの場所、吐いてもらう、です」

 それからは一瞬だった。クロエが一人を殴りつけた時、他の4人は既に壮一とガルガに倒されていた。


「それじゃ、お前らのアジトがどこにあるか、教えろ、です」

 クロエが盗賊の右足にリボルバーを突きつけたまま尋ねた。盗賊は黙ったまま、何も言おうとしない。トリガーを引く音がした。


「あああああッ!… はあ…はあ…よかった」


 弾は出なかった。今、彼はロシアンルーレットをさせられていた。まだ、運が彼を味方している。

「…運が良い、です。まだ言うつもりはない、です?」

「ねえよ!クソガキ!」

 今度は先ほどとは違う、辺りに響く音がした。運は彼を味方しなかったのだ。悲鳴を聞いてクロエが嫌そうな顔をした後、弾を1発だけいれ、チャンバーを回した。

「今度は左足、です。まだ言うつもりはない、です?」

「うッ…うあ…、ないに決まってる。クソアマ…」


 また、先程と同じ音がした。クロエは再び同じ作業をした。

「…こう、1発目で弾丸が出ることもある。最初から頭に拳銃を向けて1発目に弾が出たら、お前からは何も聞き出せない。だから私は頭以外に拳銃を向ける。まだ死なせないですよ?」

 盗賊は諦めた顔をして、話し始めた。


「この道の先に、看板がある…。そこを左に行くと、洞窟がある。そこがアジトだ…」

 それを聞いてクロエが壮一に真実だと告げた。真実だとわかった壮一は歩き出した。

「おいおい、あの男を信用するのか?壮一にクロエ」


 ガルガは盗賊を信用していなかった。なかなか喋ろうとしなかったことから、痛みから逃れるためにとりあえず嘘をついたと考えたからだ。

「私は、人の言ってることが嘘か本当かわかる、です」

 クロエが自身の能力と仕事について伝えると、ガルガは納得した。

「とんでもねえ能力だな…。さっきみたいに尋問とか拷問には最適な能力……ん?さっき真実鑑定人とか言ってたが…。あんたの仕事ってまさか…?」


 クロエは何も答えなかった。それが答えだった。彼は恐ろしくなって話題を変えた。

「ところで壮一、あんた強えな。素手で剣持った連中をすぐに倒しちまうなんてよ」

「荒事には慣れてるからな…。あんたも余裕そうだったじゃねえか」

「オレも腕には自信があるからな!」

クロエ「ふつうに、真実鑑定人もしてる、です」

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