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異世界子守道中  作者: トライド
第一部 ルメシュ王国
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いざ神国へ

 壮一たちが王都を出発してから2日経った。今、ルメシュ王国と神国の国境を越えようとしている。


「暑い!」


 凛が限界だというふうに叫んだ。非常に感情のこもった声だった。

「神国…ジンパクはルメシュ王国に比べて温暖な気候ですからね。そんな暑いってわけじゃないですけど、ルメシュにいた人からすると暑いと感じるかもしれないです。あ、これジンパクの扇子という道具です」


 そういってレイは扇子を取り出して凛を扇いだ。それにより先程まで辛そうな表情だったが、だいぶ和らいだ。

「扇子か…良い柄だ。扇子というと、あいつは元気にしてるだろうか」

「わかります?前にジンパクに行った時、これに一目惚れしちゃって、つい買っちゃったんですよ。その人も扇子好きなんですか?」

 懐かしむような表情の壮一に、レイが尋ねた。壮一はレイの質問に困ったような表情をした。

「どうなんだろうか…。そうかもしれないが、奴は扇子に描かれてる人が好きだったらしい。たしか、リリカル・キラー…とか言ったか」

 リリカル・キラーと聞いた凛が突然元気いっぱいの表情になって、興奮気味に壮一に尋ねる。

「私、知ってる!大好きなの!でも、欲しかったんだけど、お小遣い足りなかったんだ…」

「キラーって異国の言葉で、結構物騒な言葉だったはず、です。名前としてはおかしくない、です?」

 クロエがひさしぶりに口を開いた。


「俺もずっとそう思ってるんだが…、最近はこんな感じらしい。それより、クロエは何してるんだ?」

 銃弾に何やら魔法を使っているらしいが、よくわからなかった。それで、壮一は気になった。


「暑い、ですから。銃弾に込めた魔力で冷たい風でも発生させようと思った、です。…できた」

 クロエがそう言うと、馬車の中で冷たい風が吹き始める。暑かった車内は涼しくなり、快適に過ごせるようになった。


 快適な空間になったことで、凛とクロエが眠りだしてから、数時間経った。ジンパクに入ったところで馬車をとめ、血虎を労った。

「それでは、私は食事の準備をします。壮一さんは見張り、よろしくお願いしますね」

「ああ、わかった。任せておけ」

 レイは馬車から離れていった。


 特に獣に襲撃されるなどということもなく、料理が出来上がった。匂いにつられたか、単純に眠気が覚めたのか、幼女組も外に出てきた。

「今日は、シンプルにソテーにしてみました。さっき私が狩った新鮮なストロングボアの肉ですよ」

 全員、いただきます、と言ってから食べ始めた。


「美味い、噛めば肉汁がいっぱい出てきて味が口の中で広がるのも良い」

 凛も頷いて、同意を示した。

「嬉しいですね〜、料理人冥利に尽きますよ。それで……、クロエさんはどうですか?」

 黙々と食べ続けるクロエが気になり、レイが声をかけた。


「美味しい、です。ストロングボアの肉を食べたことはありますが、筋が多いし、硬くて食べられたものじゃなかったです。でも、これは違う!ちゃんと筋を切ったり、下準備をして柔らかくしてある。さらに、肉の味を損ねないくらいに調整された香辛料との調和…素晴らしい、です」


 それを聞き、空高く拳を突き上げた女がそこにいた。

頑張って猪の味を思い出しながら書いたので、そこだけは評価してください。

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