三十五話
地下牢に到着した壮一は保護者と別れ、庭に出る。その庭の惨状に驚いていると、息も絶え絶えのクロエを見つけた。
「おい、無事か?」
「これが無事だと思うのならてめえの目は節穴だ、です…。まあ、大丈夫、です」
激闘の末の疲労はクロエをその場に縛り続けていた。ただ、重症を負ったわけではないため、生死に関わるようなことにはなっていない。
「もう、疲れたので私をおんぶして連れてって、です」
壮一はもちろんだと言ってかがみ、クロエに背中を向けた。
「それにしてもあんたほどの人がそこまでとは…、相当な手練れだったのか?」
「今まで戦ってきた奴の中じゃ、トップクラスだった、です。…ちょっと、やる気だすはめになった…」
クロエは言葉の端々に疲れを滲ませながら壮一に答えた。城の中にはまだあれほどの強さを持った刺客がいると考え、2人とも憂鬱になった。
「それにしても、おんぶスキルが低すぎ、です」
「すまない…。いや、なんだそれは」
この返事をした壮一は文句を言われ続け、結果、お姫様抱っこに帰結した。クロエもまだ不機嫌そうではあるが文句は言わない。2人とも寡黙な方であり、無言が続き、とうとう王の間につながる階層まで昇ってきた。少し歩くと、大きな扉の前に倒れたルーシーの姿が見えた。
「おい!大丈夫か!?何があった?」
「う…、この部屋でガロンが戦ってる…。無視して先に進みなさい。私は疲れただけだから気にしないで…。あとは任せた…」
「本当に大丈夫なのか!?」
ルーシーが気絶したと思った壮一は焦りを見せた。さらに、服はかなり汚れて、かすり傷も多かったことが壮一に危機感を抱かせた。
「…寝てるだけみたい、です。一応私が見ておくから、先に行ってろ、です」
「わかった、頼んだぞ」
そう言って壮一は扉を開けた。
そこには激闘を繰り広げるガロンと女がいた。ガロンの持つ鉄パイプと女が持つ杖がぶつかるたびに、重いものを高所から落としたような音がする。
「ああああああアアア!!いい加減眠れやァアアアア!!」
「貴方こそ早く眠りなさぁぁぁああい!!!」
様々な要素が合わさり、ここは今カオスだった。
両者とも壮一に全く気付かないほどに、相手との戦いに夢中だった。顔を見てみるとオリジナル笑顔だ。
ルーシーが言っていた「無視して先に進みなさい」とはこの事だったのだと気付いた壮一は、王の間へと続く道を進み始めた。
シリアス感壊そうと思って頑張ったのでそこだけは評価してください




