三十三話
「ふざけるな…です。妙な仕掛けしやがって。お前なんか、本当だったらもうぶちのめしてる…」
クロエはここで、庭の至る所に仕掛けがあることに気付いた。仕掛けを作動させて、あらゆる方向からクロエにナイフを飛ばしていたのだ。
「ハッ、ここはワシの庭やで。来んかったらええのに、来た以上は全力で相手したったらんとあかんやろ?手抜いたら抜いたらで怒られるんや」
仕掛けのことに悪びれる様子はない。ここが庭師のテリトリーである以上、この程度は考えられることだ。
ただ、クロエも不利な状況といえど負けるつもりはない。まだその闘志は尽きず、今烈火の如く燃え上がった。
「……、ぶちのめす…!」
起き上がりざまに弾丸を投げたクロエだったが、たやすくこれを避けられた。
「こないな弾に当たるわけないやろ。ま、やる気ならまだ相手したるわ」
そう言って庭師はクロエから離れようとした。しかし、クロエは庭師を逃がさない。
「もうあの仕掛けは使わせねえ…です。さっきのお返しだ、です!」
さきほどとは逆にクロエの拳が庭師に突き刺さった。
「グ…っ、ちっさいなりでようやるわホンマ…おもろなってきたで!」
予想外の攻撃を受け、庭師が少し退がると、クロエは左手に先ほどまでとは違う拳銃、右手の上に弾丸らしき物を5つ浮かばせていた。
「ようやっと嬢ちゃんもやる気になったみたいやの〜!わしもやったるわ!」
庭師はそれを見て歓喜したが、クロエはもはや言葉を返さない。今、本当の戦いが始まった。
「…なんちゅうこっちゃ……。わしはとんでもないものを目覚めさせてしもうたんか。それはそれでええがのお…」
その後は実質的に一方的な戦いだった。庭師はクロエの拳銃から放たれる弾丸だけでなく、縦横無尽に動く5発の弾丸にも対処しなければならなかったからだ。さらに、拳銃から放たれる弾丸は着弾と同時に爆発することで庭師を苦しめた。また、仕掛けを作動させても、動く弾丸で簡単に防がれてしまう。一見すると互角の戦いのようであったが、庭師は追い詰められていた。
ー5発…この数には意味があるはずや…、手の指の数は片手で5本…、一本の指で一発の弾丸を操っとるんやろ…。両手で操れるんやったら終いやが、片手だけなんやったらまだ勝機はある。
庭師は勝負に出ることにした。これ以上続けても最後に負けるのは自身であると確信したからだ。自身も傷を受ける覚悟で全ての仕掛けを作動させた。夥しい数のナイフが美しかった庭にばらまかれる。その中で庭師はただ一直線にクロエにナイフを刺すべく走った。クロエの姿が見えた時、庭師は勝利を確信する。
しかし、その瞬間、後ろから飛んできた第6発目の弾丸に頭を貫かれた。
「はあ…、疲れた。最後の最後にようやく隙を見せた。この手まで予想して警戒してるなんて…」
クロエはあえて、ナイフを5発の動く弾丸と拳銃で対処した。6発目の弾丸を警戒していた庭師を油断させるためである。それに成功し、左手の人差し指に対応させていた、庭師に殴られて起き上がった際に投げた弾丸を操ったのだ。引金を引く動作と一緒に。
「もう帰って美味しいご飯食べたい、です」
戦闘描写頑張ったのでそこだけは評価してください




