二十八話
必殺五人衆は後ろ手に縛られ、正座させられていた。その中でもリーダー格らしき中央の男が、クロエに銃口を突きつけられている。
「おい、おまえらを送り込んだのは、誰、です?答えなければ、周りで倒れてる奴らの仲間入りをすることになる、です」
「すみません、よくわからないんです…、やめ…!」
その時、クロエの拳銃が火を吹く。弾丸はリーダー格の男の耳を擦り、地面に着弾した。
「あー!あー!思い出しました!あれです、宰相のあの…、あの人ですよ!あの人!」
「なるほど、です。これは礼、です」
拳銃のグリップがリーダー格の男に叩きつけられ、男はそのまま気絶した。
「次は、あなたたちの番、です」
残りの4人は今見せられた恐怖で、話すことなど残っていないが、とりあえず逆らわないことにした。
「見かけによらず、おっかねえな…、あんたは」
壮一が信じられないものを見たというように言うと、クロエが反論した。
「いや、これなら優しい方、です」
「まじかよ」
ガロンにも信じられなかったらしい。
全員に話を聞いたところ、襲撃者たちは全員、宰相の刺客だった。宰相は王が殺害されると第二王子派についたらしく、壮一たちを、特にルーシーを始末しようとしたということだった。
「ごめんなさい、私のせいで襲撃されたようね…」
「いや、これは仕方ないことだ。どうにしろ俺たちはアナに味方している、襲撃されるのは時間の問題だっただろう」
全員が同意を示す。それを見たルーシーの表情が少し和らぐ。それを見て壮一が提案した。
「しかし、どうする?隠れ家もバレちまってるようだし、このまま王都に突貫するか?」
この襲撃で隠れ家についてまで相手に知られていることがわかった。壮一たちに残されている選択肢はこの国から逃げるか、非常に危険ではあるがこのまま王都に突貫するかのいずれかだ。
「…私は、構わない、です。王子の顔を殴ってやらなきゃ気が済まない、です」
クロエが同意を示す。
「俺も良いぜ、国盗りってわけじゃねえが、国の中央で戦う機会なんてなかなかないだろうしな」
続いてガロンも同意を示した。
「フフ…、貴方たちバカなんじゃないの?よし、私も良いわ。姉さんを助けに行かなければいけないし」
ルーシーも同意を示して、王都に突貫することに決まった。
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