二十七話
謎の集団と対峙する壮一たちは、既に追い詰められていた。見渡す限り敵だらけであり、剣や杖を持つ者もいれば、弓でこちらを狙う者も多く居た。この場所で弓などを使えば同士討ちも起こりかねないが、刺し違えても壮一たちを仕留めるつもりらしい。さらに言えば、後ろの隠れ家には守らなければならない者もいる。絶望的状況で戦わなければならなかった。
そんな状況で、まずクロエが動いた。
ー私は、後ろの弓持ちを倒す、です…っ。
弱点を撃つわけではなく、ただ弓持ちが弓を射れないようにするために、撃つ。撃つ、撃つ、リロード、撃つ、撃つ、撃つ、リロード…。ただ無心でそれを繰り返した。
クロエが撃ち始め、壮一とガロンも動き始めた。ガロンが暴れるように武器を振り回し、さながら竜巻のように敵を蹴散らしている。壮一は懐からナイフを2本取り出し、構えた。ガロンの攻撃を逃れ、隠れ家に入ろうとする者を一撃のもとに仕留める。時折懐からさらにナイフを取り出し、クロエに近づく者を仕留めていた。
ガロンが近接攻撃、クロエが遠距離攻撃、壮一がフォローを行い、無理な状況を凌ぐ。それがどれほど続いたか、気付けばだいぶ数は減ってきたようだ。
しかし、そこで疲労が襲う。
「ハア、ハア、ハア…、まだいるみたいだな…。終わったらパァーッと酒でも飲まないか?」
「ハ、ハハ…、そいつは良い。しかし俺も年だな…。とりあえずタバコはやめなきゃな、壮一クン!」
「フー…。年寄りども、おべんちゃらはやめて、敵を倒せ……、泣かすぞ」
冗談を言うことで疲労を紛らわせる者もいたが、単純にストレスが限界にきて口調が変わる者もいた。
「隙あり!」
そこで勝機とみた残りの敵が一気にガロンに襲いかかる。
ーこうなりゃ奥の手だ…。
ガロンは覚悟したが、壮一が隠れ家の近くにいたクロエのもとに投げ飛ばした。
「痛えっ、何しやがる…危な!」
ガロンに襲いかかろうとしていた敵は爆発で吹き飛ばされた。
壮一はガロンを右手で投げ飛ばし、左手で爆弾を敵に向かって投げたのだ。
「爆弾か…、使うなら使うって言ってくれよ。これで終わったか…?」
周りを見渡すが、もう立っている敵はいない。
一息つこうとしたガロンだったが、壮一とクロエがまだ構え続けていることに気付いた。
その直後、5人の男女が現れた。
「まだまだ終わらんぞ!我ら必殺5人衆を倒さねばナァ!」
なにやらそれぞれ決めポーズを行う5人衆。それを冷ややかな目で見ながら、壮一たちは名乗りを上げようとする5人衆を捕縛した。全員疲労が溜まった壮一たちでも簡単に抑えられるほど弱かったのだ。
クロエを格好良く書こうと頑張ったのでそこだけは評価してください。