キャットファイト 2
荒れ果てた死闘の場で、今一度死闘が繰り広げられようとしていた。
普段とは打って変わって高圧的な態度に、嗜虐的な笑みを浮かべるのはフタバ。
それに対するのは、愛らしい猫である。
「会長そんなキャラじゃなかったでしょ!でも素敵!」
「……やかましい、き…いや、オレはアイドルじゃない。その態度をいい加減にやめろ」
その瞬間、フタバがヒナの視界から外れヒナが見回すと、すぐさまその姿は見つかった。
瓦礫の上に足を組んで座り、猫を膝に置いて撫でていたのだ。
猫はフタバから逃れる為暴れ出すが、フタバはものともせず撫で続ける。
「会長!余裕にしてるのも素敵だけど、あの魔法を使われたら流石に不味いんじゃないですか!?」
「愚問だ」
フタバとヒナが話していると、いつの間にかフタバを囲むように瓦礫や氷塊が浮遊し、逃げ場のない状態に追い込まれていた。
「会長!」
しかし、それらは突如全て落下し、フタバは相変わらず猫を撫でている。
何もしていない
少なくとも、ヒナの目にはそう映った。
「エルフの技法とは違う…。魔法自体を打ち消した…?そんなことできたっけ?」
「フタちゃんには魔法が通じないんだよ。能力、なのかな」
「どういうことなの?」
ヒナの疑問は最もだった。彼女の知識のどれにも当てはまらないフタバの能力、さらに魔法が通じないという特異性、興味を持つのも無理はない。
「よくわからないけど、フタちゃんの能力は魔法も魔力も使えない代わりに、そういう不思議なものに干渉できるみたいなんだよね。あの森ではフタちゃんとあの能力がなかったら絶対死んでたよ。ボクは。」
「あっ、なくても会長は無事なんだ…。」
その後、なすすべもなく撫でられ続けた猫は力の差に屈したのかおとなしくなり、腹を見せて微動だにしなくなった。
「こうしていると普通の猫にしか見えないね。さっきはよくもやってくれたな〜。あれ?」
ヒナが猫を撫でていると、指先に妙な感覚があった。それを確かめるべく指先に力を入れると、ヒナは真剣な表情になって魔力を迸らせた。
「海部さん、一体何をする気?これだけの魔力、かなり高位の魔法なんじゃ…。」
「ここはヒナに任せましょう。」