表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界子守道中  作者: トライド
第一部 ルメシュ王国
11/122

幕間 その一

 壮一は第一王子を失脚させるというアナたちに協力すると決めた後、凛と街に来ていた。準備と娯楽のためだ。

「準備は終わったな。凛、何かしたいことはあるか?」

「じゃあ、あそこになんかいっぱい集まってるから行ってみない?」

 広場に何かを囲むように人が集まっており、それが凛には気になった。人が多く、壮一の背でも見えなかったため、壮一は凛を肩車して何を囲んでいるか見させる。

「腕相撲やってるみたい。でも1人は指一本でやってるよ!折れないのかな?!」

 指一本で腕相撲とはどんな力自慢かと壮一も気になり、背伸びして腕相撲を見た。

「思ったほどではないな。見かけによらず力自慢みたいだが」

 指一本で腕相撲に連勝を続ける男は周りにいる人たちと筋肉量は変わらない。むしろ細身のように思われる。

「おい、あんた。そう言うなら俺と勝負しようじゃねえか、自信あんだろ?」

 壮一の言葉を聞いて、男の闘争心が湧き上がる。

「フッ…やってやるぜ」

 壮一の闘争心にも火がついた。


「ルールは…俺は指一本でするが、それ以外は基本的な腕相撲と全く同じだ、いいな?」

 それを聞いて壮一は首を振る。

「ダメだ、お前も指一本じゃなくて全力でやれよ。フェアにいきたい」

 男は笑った。


 両者とも真剣な顔で対峙する。先程まで騒がしく観ていた観衆も鬼気迫る2人の雰囲気に呑まれ、今は静かだ。審判は息を呑んだあと、試合開始の合図をした。

「始め!」

 両者の力は拮抗し、その場で腕が震え続け、その振動を受けた机が音を鳴らすほど揺れている。

 試合は動かないように見えたが、その実は違った。

 ーなんだコイツ…今までの奴らの比じゃねえ…。腕がへし折られそうだ…。

 男は心の中で弱音を吐く。

 ーまずい…、なんて奴だ。力を抜けば腕がどうにかなりそうな力だ…。

 壮一もまた心の中で弱音を吐いた。

 そして、両者とも同じことを考えた。

 体力が先に切れた方が負けだ、ついでに腕おられる、と。

 腕相撲でまさかこんなことになるとは2人とも思っていなかった。ここにきて、さらに真剣さを増した2人。腕がかかっているのだから当たり前だ。

 全く動かぬまま数分が経過して、2人ともに限界がきた。

 悲鳴をあげて、2人とも倒れ込んだ。

 疲労骨折である。

 凄まじい力による負荷を与え続けられた腕が体力よりも先に限界を迎えたのだ。

 かくして腕相撲は引き分けで終わったのだった。この後、2人がこの机に立つことはなかった。

腕相撲で骨折することはなかなかありませんが、あるにはあるのでムキになって腕相撲をしないほうがいいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ