スライムが「あたし..YouTuberになりたい」と言ってきたので「とりあえず箱でも開けよう」と提案した
転生した。
スライムと仲良くなった。
「僕のいた世界では、YouTuberというのが流行っててね〜」
「YouTuber?」
「動画を投稿するんだよ。だれでも有名人になれるんだよ〜」
「あたし...YouTuberになりたい」
スライムの夢がこの日決まった。
「まずはなにか商品を買ってこようか」
「商品?」
「うん、それを開封する動画を撮るんだよ」
「なんで?」
「うーん...」
とりあえずスライムと武器屋に行って、なけなしのゴールドで「ひのきの棒」を購入した。
その際、武器屋の主人からは「スライムに武器を売るなんて..」と嫌な顔をされた。
この世界もいろいろあるんだなあ..
宿屋でPCを立ち上げ、なんかいろいろ登録とかして、動画投稿の準備が整った。
さて、あとは箱を開けるだけ...
なんてことだ。
箱なんてなかった。ひのきの棒はむき出しだった!
「開けたことにすればいいよ」
「なに言ってんだよスライム!見所を削ってどうするのさ!」
僕たちは武器屋に戻った。
主人に箱に入れてくれるように頼んだ。
「ばかやろー!粋じゃねえな!一昨日きやがれ!」
主人は頑固な男だった。
スライムは涙を浮かべていたが、零さないように上を向いていた。
「スライム...」
この世界でスライムはいろいろ虐げられてきたのかもしれない・・・
スライムのためになにかしてあげなければ..ささやかな夢を叶えてあげたい..!!
「主人!なぜこの村にゴミひとつ落ちていないか知っているか!」
「ゴミ?」
「そうだ!それはね..みんなが寝ているあいだに、スライムたちが掃除をしているからなんだ!!」
「なんだってえー!!」
「スライムを馬鹿にしちゃいけない!スライムを馬鹿にしちゃいけない!さあ箱詰めにしてくれ!」
「わかった!そのひのきの棒をよこしな!とびきりの箱にいれてやる!」
こうして僕たちはわかり合った。
スライムの掃除の件だが..あれは嘘だ。
この村の掃除はちゃんとプロの清掃係がしている。
さて、綺麗に箱詰めされたひのきの棒を僕たちは受け取った。
「あ、あ、あ、あたしはす、す、すら、すらいむ・・いまからこ、この箱をあけますうう」
ガチガチだ。
スライムは震える口で箱を開封していった。
ひのきの棒のおでましだ!
「わああ..ひの、ひの、ひのきの棒だったあ・・」
いい動画が撮れた。
再生回数はうなぎのぼりだろう。
翌日..
僕は死んだ。
再生回数が伸びなかったスライムが激昂し、ひのきの棒で僕をぶん殴ったのだ。
YouTuberの話なんかしなきゃよかった。
完
村人にむりやり踊り子の衣装を着せられた男の子!なぜか魔王と戦う旅に行かされることになり・・・
「◇◇◇踊り子の衣装を着せられて、魔王と戦うことになったんですけど!!◇◇」
を連載中です(❀╹◡╹)ノ゛
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