会談(呪)
ここは地下のプライベートシアター。
1000体は入らないので、くじ引きで話し合いの代表数体を決めた。
まず、書記長として呪われた人形、そして、その補佐に呪われた人形。コイツらは審議には介入できない。
それから、公正な審議をする5体の呪われた人形。
そして、夜に根回しをしていたスパイをその中に2体。
つまり、私を含め、お互いに主張すべきは同数となる。
ギリギリの公平だ。
この形で、合鍵のアイツと私が相対する。
討論の内容は勿論あれだ。
【光る、飛ぶのをするのかしないのか】
あらためて確認する。
「さて、書記長、本日の議題を」
書記長は補佐に目くばせらしきものをすると、
いつぞや社畜のころよく聞いた、エンターキーを強めに押すタンッという音がした。
すると、スクリーン一面、プロジェクターから映し出される画面に大きく市松人形が写った。
それ、カメラ機能な。インカメで何をしていたんだキサマ。
補佐は慌てて戻そうとするが、なかなか戻らない。
なぜなら、やつらは関節が微妙にしか曲がらない。
というか、普通は微妙にすら曲がらないんだが。
その体でガチガチとキーボードの上で顔面をガチガチぶつけている。
めんどくせぇ……
カタカタガッガッガッガッガッ
やっとそれらしきものが出たようで、私はあらためて、文字を読んだ。
議題
【どういう光り方飛び方なら良いのか、または替わる手段を考える】
違う。……書記長め。やりやがった。
「違う!おい!」
書記長はじっと動かない。
「お前!」
補佐はキーボードに突っ伏したまま微動だにしない。
他5体も同じく微動だに……
1体笑いを堪えて震えてやがる。しかもお前スパイじゃねぇかよ。
くうぅ、しゃべれないのをいい事に……。
もういい、強硬策に出る。
《ナンデヤネーンノ、ピラ……》
と、唱えてふと思った。
あいつらは私の声が聞こえる。
つまり、ヤツらが話せれば、会話ができるのか?ん?
与えよ、さすれば……なんてな。
なんとなく喉に魚の骨でも刺さったような違和感を抱えつつ、唱えた。
《ナンデヤネーンノ、ピラルクオイシー》