まさかの王道
どれぐらい経ったろうか。
目覚めるとチャイムの音は消えていた。
そして、わらわらと周りに呪われし人形たち。
と、それが人間になったようなやつ。
書記長、補佐、合鍵、英語。
なんとかかんとか有名人みたいな名前にみんな似てる呼称というのは毎回だと誰かさんが非常にめんどくさい。
名前をつけることにした。
「人間、名前つけるぞ……」
はぁ、まだ頭がクラクラする。適当につけてしまおう。
「えーと、しょきこ、ほさこ……」
ほさこの強い否定感を押し出した声。
「まてい!ぜよ」
もう押し切る気だな補佐よ。
書記長が口を開いた。
「あのな、そもそもこの姿は、私たちを作った職人が想像しながら……だから、名前も……」
「嘘つけ、100年は経ってるだろ」
書記長は舌打ちをした。
合鍵が口を開く。
「まぁ、正直、テレビとか見てて、こうなりたいなってのを想像しちゃいましたー」
「本当か、教えたまえ」
「……ほんとだ……」
この質問ではっきりした。書記長は、光もしないし飛べもしない。つまり、願いではなく、これは会話だ。
そういえば。
「さっき、合鍵のあれを見てしまったのだが」
合鍵の目が泳ぐ。
「お前ら、どこまで人間に近い」
書記長が言う。
「ひゃくぱーです」
マジっすか……
合鍵のお腹が鳴る。
「お腹空きました♪」
うぉぉぉぉ…
これは、言葉では表現できないが、最高の願いだったかもしれん。
美人4人、しかもひゃくぱーですけど!
よこしまな気持ちが脳内にひゃくぱー充満した。
私を白い目で見ながら、ほさこが真顔で言う。
「あの、ぜよ。私たちに限っては、もうお願いは叶えられませんぜよ」
は……。そうか、ひゃくぱー人間……。そういう事か……。
でもまぁ、これはこれで……。
「名前……名前つけろよ」
書記長がうつむいて言う。
「だから、しょきこ、ほさこ……あいかぎ……」
「違う!」ぜよ!」
3人から怒られた。
本気のかわいい名前をご希望だ。どうやら心もしっかり乙女のようだ。
グゥ。
合鍵のお腹がまた鳴った。